勉強嫌いの少年が「人気ゲーム開発者」になれた訳 13万部超え「ケミストリークエスト」誕生秘話
「探究力」を持ち、やりたいことを見つけていきいきと過ごせる子は、どうやって育ってきたのか……。私はそれを知るため、自分らしさを発揮して活躍している人たちを訪ねて、本人にどんな育ち方をしたのか、親御さんに何を大事にして育ててきたのかを聞き、その内容を元に『「自分のやりたい!」がある子はどう育ったのか』というコラムをウェブメディアで書いてきました。
まず、これまで取材させていただいた中でも、特に印象に残っている「特徴的なエピソード」をお伝えしましょう。このエピソードには、探究力を育てるためのヒントがちりばめられています。
小学3年生でオリジナルゲームを考案
シリーズ累計13万部突破の大ヒットになった化学結合ゲーム『ケミストリークエスト』(幻冬舎)の考案者で、小学6年生でケミストリー・クエスト株式会社を設立して、社長に就任した米山維斗さんの話です。
始まりは、小学3年生のときに友達と遊びたくて考えたカードゲームでした。当時、友達の間で、学校への持ち込みが禁止されていたカードゲームの代わりに、折り紙で自前のカードゲームをつくるのが流行っていて、自分も何かつくりたいと思ったのがきっかけだったそうです。
友達の多くがバトルゲームをつくる中、自分は相手を仲間に入れるゲームをつくりたいと思い、結合すると何かが生まれるものをと考えて維斗さんがつくったのが、「ケミストリークエスト」(通称ケミクエ)でした。
「約100種類の元素が結合して、世の中の物質がつくられることを友達にも伝えたかった」という維斗さん。
できあがったカードゲームは、分子構造などまだ知らない同級生にも好評で、友達が喜ぶ姿を見て、もっと多くの人に知ってほしいと思うようになったそうです。そこで、小5の秋に「東京国際科学フェスティバル(TISF)」に応募してケミクエの原型を披露すると、小さい子どもから研究者までがゲームに夢中に。
商品化をすすめられ、本人も真剣に考えるようになったのです。そして、お父さんと一緒に会社を立ち上げ、商品化するや大ヒットとなり、シリーズ累計13万部突破。今も売れ続けているロングセラーになっています。
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