沈没船博士挑む400年前の船ハラハラの発掘調査 海底に眠る船体を研究する「水中考古学」の世界
現場に着いても、すぐには発掘できない
ついにこの日が来た! 水中調査当日の朝、軽い朝食を済ませたら、そのままリビングルームでミーティングが始まる。15人近くに膨れ上がったチームメンバーが3つのグループに分けられ、それぞれに作業が振り分けられた。ミーティング後、各グループで確認しながら作業に必要な機材を車に詰め込み、車で5分ほど離れた港に向かう。この時はチームメンバーの数が多かったため、地元のダイビングショップから2階建ての立派なダイビング専用船をチャーターした。
沈没船の地点までは、この船で1時間弱程。私達は船のエンジンが完全に停止したらすぐに潜れるように、船内でダイビング機材と作業に必要な道具を準備する。
ウェットスーツの上に空気タンクを装着したダイビング用のジャケットを着た。海外での水中考古学プロジェクトでは、18ℓの空気タンクを使うことが多い。今回も18ℓの空気タンクを使う。タンクは空の状態でも約22㎏、空気が満タンの状態で約27㎏になり、陸上では動くのがおっくうになるほどだ。しかし、一度水中に飛び込めば重さも感じなくなる。
風も穏やかで、波もない。船長から係留完了の合図が出ると、今回のプロジェクトリーダーであるイレーナ・ロッシ教授と水中考古学の世界的権威であるフィリップ・カストロ教授から作業内容の最終確認が行われ、その後、すぐに最初のグループの6人が水に飛び込んだ。
いよいよ、グナリッチ沈没船の50年ぶりの水中発掘が再開だ!
無料会員登録はこちら
ログインはこちら