真摯な対応をしなかったトランプ前大統領
新型コロナウイルスによるアメリカ国内の死亡者は、2021年6月15日、ジョンズ・ホプキンス大学の集計で60万人を超えた。累計感染者数は約3350万人で、死者数も感染者数も世界最多となった。
この死者数は、第一次世界大戦や第二次世界大戦でのアメリカ人の死亡者を合わせたよりも遥かに多い数だ。まさにアメリカは「コロナ敗戦」となってしまった。
アメリカで新型コロナの感染が始まったとき、当時のドナルド・トランプ大統領は、「ウイルスはまもなく消える」などと発言し、真剣な対応を取ろうとしなかった。2月10日には「ウイルスは4月までに、奇跡的に消えるだろう」と述べ、2月27日にも「ウイルスはある日、突然奇跡のように消え去るだろう」と主張した。
その後も感染者数も死者数も増え続けたが、7月19日に放送された、トランプ大統領お気に入りのテレビFOXニュースでのインタビューでも「私が正しかったことがわかるだろう」と言い続けた。
これを信じたトランプ支持者たちのうち、どれだけが感染したり死亡したりしたことだろうか。
この点に関し、「ワシントン・ポスト」のボブ・ウッドワード記者は、著作『RAGE 怒り』の中でのトランプ大統領へのインタビューで、「国民に不安を与えたくなかった」という趣旨の弁解を紹介している。自らは危険性を認識していたというのだ。
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