オダキューOXの挑戦「鮮魚をその場で焼いて売る」《それゆけ!カナモリさん》

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■「加工度」がもたらす効用

 「手数料は焼き時間によって異なるが100円~300円程度」(同)と、レベニューアップの効果が期待できる。さらに、焼き時間は「イワシなどの小さな魚なら5分ほど、イサキなどの大型の魚は20分ほどかかる」(同)ということなので、店内の滞留時間が長くなる。買い上げ点数が増加する期待効果もある。

 ここまでで、既に「焼き売り」というサービスの効用は随分あるように思えるが、その意義は実はもっと深い。

 「加工度」というキーワードがある。

 農産物や魚介類などの生鮮食品は、収穫や漁獲高による相場の上下はあるが概ね横並びだ。価格優位に立とうと思ったら、大量仕入れなどによるコスト圧縮などしか収益向上の方策はない。価格勝負は企業体力をすり減らす。それだけではない。少人数世帯の増加、人口縮小の時代に大量仕入れしても売り切れるだけのパイがどんどんなくなっていくのだ。

 消費者に商品がどのような価格が受容されるかは、商品の価値構造と関係する。例えば、飲料の場合、飲料を手に入れて実現したい「中核的価値」は「喉の渇きをいやせる」ことである。ミネラルウォーターの相場は約100円だ。清涼飲料は「炭酸でスッキリする」「甘くてオイシイ」などの「実体的価値」が加わる。平均価格は150円。トクホ飲料は189円が相場だが、「脂肪を燃焼する」などの効果が「付随機能」が加わっている。単純にのどの渇きを癒せる水の「加工度」が向上するに従って、プレミアム分が加わっていき、最終的には倍近い金額で買われているのである。
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