せっかくなので、俵屋であつかっている農家直送のコメを紹介したい。今、個人客に人気なのが北海道産の「ゆめぴりか」。炊き上がりが綺麗でモチモチ感があり「THE日本のコメ」(佐藤社長)だという。一方、店舗を訪れる客に人気なのは北海道産の「ななつぼし」。自己主張しすぎないから主菜を引き立て、さらに冷えても美味しいから便利に使えるという。最近販売を開始した新潟・黒崎産の「コシヒカリ」も人気は上々だ。
クールジャパンを貫くなら、本気で売れ!
俵屋では精米の度合いも選べる。現地の日本人からは白米での注文が多いが、実はシンガポール人からは対照的に玄米に近い状態での注文が多いという。なぜか。その違いは、白米の方が他のアジア産のコメとの違いがわかりやすく、またシンガポール人は健康志向から玄米を食べることに慣れているからだろうと佐藤社長は推測する。
昨今、「クールジャパン」を追い風に日本の良いものをアジアに輸出しようとする動きが国や自治体や民間企業で盛んだ。
この文脈において俵屋は先駆者だが、佐藤社長にいわせれば「日本はまだまだ本気じゃない。作ったものを売る人材が足りていない」。「ちょっとイベントに出展して、売れなさそうだから進出を諦めるというケースが多すぎます」
「俵屋も営業を開始して最初の2カ月間は、訪問先から突っぱねられて売上げがゼロでした。価格が高かったからです。それでも品質を維持できる適正価格以下には値引きせず、サンプリングのコメだけでも試してもらうように訪問してお願いを続けました。するとその粘りが効いてか、徐々に受注件数が増え始め、そのうちに当たり先が見えてくるように。覚悟を持って腰を据えてやり続けたことが、ブレイクスルーにつながったのです」(佐藤社長)。
今後の目標は、まずシンガポールで年商150万Sドル(約1億2000万円)に到達すること。また、年内にはインドネシア・ジャカルタにも進出する計画があるという。「マーケットが拡大しているので、間違えずにやっていればビジネスは伸びていくと思います。だからこそ、怠けてはいけないのです」佐藤社長は自信をのぞかせつつ、気を引き締める。
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