英国の小学校「超厳格コロナ対応」から学べること 消毒に次ぐ消毒、一定の距離確保などを徹底

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――PCR検査の態勢はどうなっていますか。

教員全員が毎週、日曜日と水曜日に検査をしています。「希望者は受けて」と言われていますが、全員が受けています。やはり、自分の安全は確認したい。職員や子どもたち、自分の家族に対する安全も確保しなくてはなりません。自分が安全な環境で仕事をしたいし、生徒に安全な環境を提供する責任があります。生徒も週1回の検査を推奨されています。

――コロナのワクチンについてはどうでしょうか。教職員は優先接種が可能なんですよね?

それはありません。6年生と中学生は、潜在的陽性率が最も高い年齢層と言われています。陽性だが、症状がない状態です。したがって、その年齢層を教える教員は、優先的に接種を受けるべきだと思うのですが、現時点で優先のカテゴリーに入っているのは、特別支援学校・学級の教員だけです。それと、疾患を持っている生徒や生徒を担当している教員。このカテゴリーの人はすでに接種しています。私たちのような一般教員は、自分の番を待つしかないという状況です。

自習形式のリモート授業のメリットとデメリット

コロナ禍のイギリスでは、多くの学校がオンライン授業になった。スウェイルクリフ小学校では、オンライン授業の導入に際し、「オーク・アカデミー」というオンライン教材を導入した(https://www.thenational.academy)。これは「教員による、教員のため」のプロジェクトで、コロナ禍によって大きく広まった。参加教員は実際に自分の授業を録画し、それを映像コンテンツとして公開。教員は自分で気に入った動画を教材として使ったり、独自のアレンジを加えたりする。多くの学校が活用しており、公開済みの授業動画も約1万件に達している。アン・ルイーズさんもこの教材を使用し、それに沿った課題や宿題を独自に作って対応してきた。

――アン・ルイーズさんは、ライブ(対面)の授業と自習形式のリモート授業と両方を行っているんですね。

そうです。自習形式の授業についても、「オーク・アカデミー」のオンライン教材だけではなく、一部では自分の授業を録画したものも取り入れています。学習内容や教材は、通学組も自習組もまったく同じです。唯一の違いは、通学組の場合、先生が途中でビデオを止めて、「ではこれについて話し合って、考えましょう」「みんなの答えを聞きましょう」という時間が取れるところです。

リモートの授業では、生徒はビデオを見ながら学習します。教員の私は「リーディング」「算数」などの4科目の教材を提供し、オンラインで指導しなくてはなりません。1日8コマ担当することもあるうえ、通学組と自宅学習組の双方をこなさないといけないので、かなりの負担です。

オンライン教材を使うためには、教員もそれを覚えなくてはなりません。もちろん私が教材を選ぶわけですが、究極的には自分のカリキュラムという感じがしないんです。「オーク・アカデミー」はほかの先生の授業を使う形なので、自分で内容のコントロールができない。相当難しいです。

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