不祥事続発「ブルシットマネジメント」の深層 上層部の具体的な目標設定が組織の暴走を招く
言葉の使い方を変えることで、自分が率いる潜水艦の評価を最低から最高に引き上げ、ベストセラー『7つの習慣』の著者、コヴィー博士から絶賛された伝説の艦長がこのほど、『LEADER’S LANGUAGE(リーダーズ・ランゲージ) 言葉遣いこそ最強の武器』を上梓した。
あらゆる組織のリーダーに役立つ、伝え方のパラダイム転換を促す本書から、企業の不祥事がなくならない理由についての洞察を、抜粋・編集して紹介する。
アイアコッカが定めた数値目標
1972年、サンドラ・ギレスピーという女性が、新車で買ったフォード社のピントでミネアポリスの高速道路に乗った。そのとき、後ろから来た車がサンドラの車に追突し、ピントの燃料タンクが破裂、車は炎に包まれてサンドラは焼死した。
なぜ車は炎上したのか。悲しいことに、サンドラは、同車の設計上の未知の要因のせいではなく、フォード社が実施した費用対効果分析の犠牲になったのだ。
1960年代のアメリカの自動車メーカーは、VW(フォルクスワーゲン)のビートルや日本のメーカーが小型車市場に参入してきたことで苦しんでいた。当時のフォードCEO、リー・アイアコッカは、燃費のいい小型車市場に参入すると決め、価格2000ドル、重量2000ポンド(約907キロ)を切る車を設計して市場に投入するという目標を定めた。与えられた期間は25カ月。その車は「ピント」と名づけられた。
「重量2000ポンド、価格2000ドル未満」という具体的な目標は達成が難しく、エンジニアや設計者は、設計の初期段階でいくつもの妥協的な決断を下していた。
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