不祥事続発「ブルシットマネジメント」の深層 上層部の具体的な目標設定が組織の暴走を招く

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2009年、ハーバード・ビジネススクールから「暴走する目標」というタイトルの論文が発表された。リサ・D・オルドネスほかの著者らは、フォードの「重量2000ポンド、価格2000ドル未満」といった目標が組織の行動にどのような影響を及ぼすのか、とりわけ組織を倫理に反する行動に向かわせるかどうかを調査している。

達成が難しい目標を具体的に設定すると、短期的にパフォーマンスが向上することを実証した研究はたくさんある。具体的な目標があると、集中力が高まり、気が散ることが減る。集中しやすくなることや、証明と実行の思考心理になることは、赤ワークの遂行にとって頼もしい味方だ。

一方、思考の青ワークでは、視野を広げることやバリエーションが歓迎されるので、具体的な目標を設定すると、青ワークには思いがけない負の影響が生まれかねない。

本書で述べているように、手強い赤ワークを掘り下げるには、作業を小さく区切り、時計を支配する機会を提供することがカギとなる。時計の支配についてはリーダーが提供できるが、社員が合図を出せるようにすることもできる。また、ひとつの作業に集中しすぎることの弊害を、何らかの形で社員に教育する必要もある。

数値にとらわれ、全体の方向性を見失う

その教育がなされていないと、目標からずれている兆候があっても、そのまま赤ワークを続けて破滅に向かう。具体的で難しい目標を設定すると、ひとつの作業に人を集中させることはできるかもしれない。

だが視野が狭くなれば、作業に無関係だと認識された情報は排除される。戦略や目標のそもそもの方向性に疑問を抱かせるような情報が目の前にあっても、それが目に入らなくなってしまうのだ。それを実感させるため、リーダーシップ研修の多くが、ゴリラの映像を使ったワークショップを取り入れている。

ここでは、参加者はこう告げられる。「バスケットボールをする人々の短い映像を見せるので、白シャツのチームと黒シャツのチームがそれぞれ何ゴール決めたか数えるように」。認知能力が求められる作業であり、集中力も必要だ。

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