「ステージ4のがん」45歳男性が若者に伝えたい事

中学生に語りかける「未来は変えられる」

一方、がんの手術後に腸閉塞(腸がつまること)を起こして治療してから、志賀さんは便意を催すと我慢できなくなった。腸が過敏になりすぎたり、開腹手術の際に腸がねじれたりしたせいかもしれないという。以降、がん授業などの前には外食を控えている。

これまでと一線を画す志賀さんの授業

桜川中学校でのがん授業は、病気のイメージの誤りをデータに基づいて正し、彼ががん友たちと出会い、病前よりも前向きに自分らしく生きてきた軌跡を、生徒たちと目の高さを同じにして差し出すような42分間だった。

桜川中学校での授業は、朝日新聞でも紹介された(写真提供:志賀さん)

授業後、鈴木浩二校長(60)は、予防の観点からがんの怖さを強調しがちだった従来のものと、志賀さんの内容は一線を画すものだと称賛した。

「子供たちに科学的で正確な知識を与えつつ、がんになった方や家族への共感をも育むものでした。一方で病後に取り組まれた水泳や、がん友の皆さんとの人間関係の広がりなど、いい意味で生徒たちを驚かせる面もありました。今後のがん授業も、今回の方向性を大切にしていきたいと思います」

校長室で授業の感想を聞いた1人の女子生徒は、志賀さんが病名を告知された際の神妙なスライドに書き足した「人生オワタ\(^0^)/」マークを見て、「深刻な場面だった分、面白かった」と笑顔を見せた。志賀さんは「ウチの娘には『バカじゃないの!』とディスられたのに……」と、右腕を目の前にかざして泣きまねポーズを見せ、渾身のギャグの成功を子どもみたいに喜んだ(志賀さんの母校で、彼の娘さんが現在通う中学校でもがん授業が予定されている)。

もう1人の女子生徒は、「私も志賀さんのように過去は変えられなくても、現在の行動で、未来は変えられるように頑張りたいと思いました」と言い、口を真一文字に固く結んだ。がんをテーマにしながら、彼が最も伝えたかった思春期真っただ中の生徒たちへのエールを、彼女はしっかりと受け取ってくれていた。

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