がん授業後半、志賀さんは病気になったことは仕方ない、と前置きして続けた。「過去は変えられないけれど、現在の行動で、未来は変えられると考えるようになりました」と。
志賀さんが取ってきた未来を変える行動
まず、前出のがん患者サイトの会員になり、病気から子育てまでの情報交換や、オフ会にも積極的に参加。志賀さんの表現を借りれば、「がん友」を飛躍的に増やし、同会員としてNHK-BSのテレビ番組にも実名で出演した。
心身の健康を取り戻すためにスポーツへの苦手意識も大転換した。現在中学1年の長女が小学校入学時に通い始めたスイミングクラブに、自分も一緒に入会。水泳は今も続けている。
2013年からは水泳のジャパンマスターズ大会に毎年出場中(昨年度はコロナ禍で中止で、今年は開催予定)。同大会は各年代ごとの8位入賞以外に、10年連続出場でもメダルがもらえる。
「私は後者狙いで長く、緩く続けることが目標です。がんにならなければ、今頃は確実に中年太りのメタボおじさんだったでしょうね」(志賀さん)
全国各地で開催されるマスターズ大会参加時は、家族旅行も兼ねてきた。
2018年から始めたがん授業は通算約50回を数え、有給休暇が足りなくなると授業を優先して、給与を減らすことさえ時々ある。小・中・高校はもちろん、志賀さんは茨城県立医療大学看護学科や、筑波大学医学群にも出かけている。
茨城はがん教育先進県で、小中学校における授業実施率がほぼ100%。全国の小中高校の平均実施率は61.9%にすぎないのに、だ(2018年度の文部科学省調査)。志賀さんらが県と協力し、早くから地道な活動に取り組んできたためだ。
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