赤道「かすめてもない」のに赤道ギニアと名乗る訳 世界各地の「へぇ~」なおもしろ雑学を紹介

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オリンピック発祥の地は「ギリシャ」のアテネ。エーゲ海があるのは「ギリシャ」。オリーブオイルやハチミツで有名なのは「ギリシャ」。

日本ではギリシャという国名を普通に使っているが、海外では「ギリシャ」といっても理解してもらえない。実際、ギリシャへ観光旅行に出かけ、「ギーリシャ」「ギリーシャ」「ギ・リ・シ・ア」などと発音して、現地の人に首をかしげられている日本人もいる。

ギリシャの有名な観光地・サントリーニ(写真:iStock/spooh)

それもそのはず、ギリシャの正式名は「エリニキ・ディモクラティア」といい、ギリシャ人は自国を「エラス」か「ヘラス」、あるいは「エラダ」と呼んでいる。

また、英語ではラテン語起源の「グリース」が使われている。つまり、「ギリシャ」というのは日本独特の呼び方であり、日本人同士でしか通じないのである。

そもそも日本では、外国の地名や人名などについて現地呼称主義をとっている。現地呼称主義とは、現地で呼ばれているとおりに呼称するものだ。ただし、これはあくまで原則でしかなく例外も多い。ギリシャもその1つだ。

世界を見渡すと、フランスでドイツを「アルマーニュ」、イギリスを「アングルテール」、日本を「ヤポン」と呼ぶように、現地呼称主義をとらない国もたくさんある。とくにフランス人は自国の言語に絶対的な自信とプライドを持っており、外国の地名もフランス流に変えてしまう。

それにしても、なぜ日本は「エリニキ・ディモクラティア」を「ギリシャ」と呼ぶようになったのだろうか?

江戸時代は「ギリーキ」

実は「ギリシャ」という呼称は、ポルトガル語の「グレースィア」に由来するといわれている。江戸時代、ポルトガル人の宣教師がこの言葉を伝えると、それがなまって「ギリーキ」とか「ゲレシア」などとなり、明治時代初期に「ギリシャ」に落ち着いたというのである。

夏の夕暮れ時のパルテノン神殿(写真:iStock/SHansche)

ギリシャと同じヨーロッパの国、ベルギーも日本で何度も呼称が変わってきた国の1つで、「ベルチュム」「ビルヂム」「ベルヂッグ」などと変化を続け、明治時代後半に現在の「ベルギー」に落ちついた。

なお、日本の教科書では「ギリシア」と表記されることが多いが、外務省や法律では「ギリシャ」と表記される。

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