コーヒーの健康増進効果を満喫する「いれ方」 研究で多様な病気のリスクを減らすことが判明

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カフェインはコーヒーに含まれる何千もの化学物質のうちの1つであり、ほかの物質がすべて体にいいわけではない。いい効能があるそのほかの物質の中には、ポリフェノールと抗酸化物質が含まれる。ポリフェノールはがん細胞の成長を抑制したり、2型糖尿病のリスクを低下させる効能がある。抗酸化物質には抗炎症作用があり、アメリカの死因のトップである心臓病とがんを防ぐ効能がある。

とはいえ、コーヒーはどのようにいれても体にいい効果があるというわけではない。フレンチプレスやノルウェー式の煮出しコーヒー、エスプレッソ、トルココーヒーのようにペーパーフィルターを使わずにいれた場合、ジテルペンと呼ばれるオイルの化学物質が多く含まれるため、動脈硬化につながるLDLコレステロール値が上昇しやすい。

だが、この化学物質はフィルターでいれたコーヒーやインスタントコーヒーにはほとんど存在しない。自分がコレステロール値の問題を抱えていることを知っている私は、カフェポッドを分解し、プラスチックのカップの内側にフィルターがついていることを発見した。ああ、よかった!

いい影響を阻害するかもしれないのは…

さらにコーヒーのいい影響を阻害するかもしれないのは、コーヒーミルクや甘いシロップのような人気の添加物だ。カロリーゼロの飲み物であるコーヒーを、カロリーたっぷりのデザートに変えてしまう。

「人々がコーヒーに加えるいろいろな物を合わせると500~600カロリーものジャンクフードができあがります」と、ウィレットは言う。たとえば、16oz(500ml弱)のスターバックスのモカフラペチーノには砂糖が51g、脂肪分15g(そのうち10gが飽和脂肪)が含まれ、370カロリーにもなる。

アイスコーヒーの季節が近づき、水出しコーヒーを注文する人も増えるだろう。最近、人気の水出しコーヒーは、ひいた豆にお湯を注いだときに生じるコーヒー独特の酸味と苦みを抑えるいれ方だ。ひいた豆を何時間も水の中に浸して抽出し、ペーパーフィルターで濾過して粉や有害なジテルペンを除去し、風味とカフェインだけを楽しむ。水出しコーヒーは、デカフェのコーヒーでもつくることができる。

デカフェもまったく健康への効能がないというわけではない。カフェイン入りのコーヒーと同じく、ポリフェノールには抗炎症作用が含まれ、2型糖尿病やがんのリスクを低下させる可能性がある。

(執筆:Jane E. Brody記者)
(C)2021 The New York Times News Services

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