高級ブランドも参戦!「表参道」不動産争奪の内幕

閉店中のオリエンタルバザーはフェンディに?

何百店ものナイトクラブやバーがあり、夜遅くまで活気を保っている銀座とは異なり、表参道にはナイトライフがないのも弱点と言える。昼間混み合っていても、夕方6時になると閑散とし始める。銀座のように夜遊べる娯楽施設も少ない。

では、なぜ表参道の地価や家賃はこれほど高額なのだろうか。表参道には「話題効果」があるので、売り上げがよくなくてもかまわない、と入居型ブランドの多くが考えている。

表参道を拠点とする不動産会社ジャパン・プロパティ・セントラルのゾーイ・ワード氏は、高級ブランドにとって表参道の店はブランドの「顔」のような存在だと指摘する。「必ずしも表参道にある店単体で利益を出す必要性はない。表参道という一等地にあることが重要で、それがブランドの価値を上げ、オンラインの売り上げを左右する」。

一方である高級ブランドの幹部はこうも話す。「あまりに多くのブランドが必要以上に大きな店を構えてしまった。表参道で儲けを出すには、出せる家賃や対象とする顧客に合わせた店舗サイズにする必要がある。例えば、シャネルの店舗はとても小さいため家賃が安く、売り上げ自体も好調だから利益が出る」。

時間が経つにつれて、「やはり表参道は高すぎる」と多くのブランドが見直すかもしれない。すでにネスプレッソやポールスチュアートは去って行った。プチバトーも前述の通り、撤退するとみられている。

価値の高い土地は狭い範囲に集中

価値の高い土地が非常に狭い範囲に集中しているのも弱点だ。本当に高級な地区は明治神宮前駅と表参道の交差点に挟まれた約500メートルの範囲だけだ。「表参道ヒルズがある明治神宮に向かって大通りの右側よりも、地下鉄駅の出口がある左側に店を構えた方がよい」と、かつて表参道ヒルズ側に店舗を構えていた店の店長は打ち明ける。

実際、表参道には厳然たる境界が存在している。「頂点」となる境界は青山通りだ。「青山通りを超えた根津美術館側にあるプラダの店舗はたしかに美しいが、売り上げはあまり芳しくないという話だ」と、ある不動産関係者は明かす。

一方、明治神宮側では、ラルフローレンとシャネルが店舗を構えるジャイルビルをつなぐようにかかっている歩道橋が高級ブランドとそれ以外の店舗を分かつ「分断線」となっている。高級ブランド業界や不動産業界にとってこの線は、北朝鮮と韓国を分かつ非武装地帯(DMZ)のように厳格なものだ。

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