カリスマ経営者・信越化学の金川千尋社長が交代、産業界注目の記者会見詳報
−−金川さんが森さんを後継者に選んだ理由は。
(金川)まず人柄。次に知識、経験。森くんはもともと機械専門。いろいろ工場の設計、建設、指導監督とか、いろいろな工場を一緒にやってきましたからね。その仕事ぶりをみればその人の人柄は分かります。仕事の面でも実力があるし、任しておけば間違いない。専門の分野でも間違いがない。
会社の経営についてもずいぶん長い間、副社長として私と一緒にやってきましたし、それは昨日今日決めたのではなく、副社長に選ぶときにだいたい決めて指名した。いつ選んだのかは覚えていないが、1年かもうちょっと前。昨日今日じゃない。長い間考えたうえでの結果。
−−会長として今まで以上に収益の拡大に専念するという話があったが、会長と社長の役割分担は。
(金川)両方とも目的は会社の内容をよくすること。具体的に言うなら、現在、それから将来に向かって、健全な会社をつくって、それを伸ばしていく。たとえば意見が違えばよく話し合って−−ないと思いますけど−−あれば社長が決めればいいことです。権力の二重化とかそういうことは避けるべきだ。会社がおかしくなる。私はそういうことをするつもりない。そういう事態になればゆっくり休んで−−ないと思いますけど−−休養させてもらいますよ。
−−森さんにうかがいたいが、金川さんといえば、産業界でも有名なカリスマ経営者として、時価総額を20年で9倍にしてきたという実績があるが、そういう人の後を受けるというお気持ちは。
(森)20年間皆さんよくご存知のように、(金川現社長は)一介の化学会社だった当社を世界的に優良会社まで引き上げてこられた。数々のすばらしい実績をつぶさにそこで勉強させていただきました。それを私がやれるかというと、そんな力はございませんが、やはり長い間、ずっとそばで教えていただいておりますので、貴重な経験、貴重な教えを生かし、さらに発展するように、今度は新会長と一緒に、大きく伸ばしていきたいと考えます。
会社としてどうやって伸ばしていくかというのは、今突然でもございますので、具体的にどうこうとは考えておりませんが、仕事を通じていろいろご教示いただきながら、新しい事業を取り組みながら伸ばしていこうと考えております。