カリスマ経営者・信越化学の金川千尋社長が交代、産業界注目の記者会見詳報

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−−金川社長にうかがいたい。今年在任20年という節目に当たると思うが、今年(社長を)辞めようと2~3年前から考えていた、とおっしゃっていたが、今年の今日のタイミングを選ばれたのはどういう理由か。

(金川)別に今日でなくてもいいんですけども。たまたま5月のこういう時期がいちばん自然だろうと思いまして。今日という日に特別な意味はない。先ほど申し上げましたように、1年ほど前から今年中になるべく早い機会に辞めようと思っていました。今日このタイミングが自然だと、それ以外に何の特別の意味もない。

−−なぜ今年中に辞めようと。

(金川)体力、それから気力ともに歳とともに衰えますから。自分がいちばんよくわかる。自分が判断して、良い時期を決めるのが会社のためにも自分のためにもなると思って決めました。

−−リーマン・ショック後の世界経済は、だいぶん回復してきたとはいえまだ本調子とはいかない中での社長交代となるが、心残りとか心配は。

(金川)まったくないですね。森君がちゃんとやってくれると思いますし、もし私がヘルプしなければならないことがあれば、(私も)いますから、いつでもやりますから。バックアップは徹底的に。それは今までと同じと思って結構だと思います。2人とも会社をよくしようという意味では徹底していますので、そういう意味で意見の食い違いはないと思います。もし仮にあれば、社長が決めればいいと思います。申し上げましたように、権力の二重化というのはよくないから。社長に決めてもらう。

−−森新社長にうかがいたい。今、欧州問題とかまさに景気の不安要素が残っていると思うが、真っ先に取り組まなければならない経営課題は何か。

(森)具体的にもっと検討してからでないとお話しできないと思いますが、2年前に最高益を上げておりますし、落ち込んだとはいえ、09年3月期が2505億円の経常利益、10年3月期は1270億円。絶対値的には同業他社と比べて安定した収益を上げてきた。リーマン・ショック前までは13年連続で最高益更新を続けてこられた。私もまずはそこ(最高益水準)に戻すことが先決だと考えます。

今やっている既存の事業を見直して、金川社長はよくご存じなので、そこは指導を受けながら伸ばしていく。事業環境も相当変化している。社会、経済環境はかなり変動して、当社の事業環境もかなり変動している。そこで市場のニーズに合わせた新しいことも取り入れながら、一刻も早くまず過去最高益までもっていくのが私の使命と思っている。

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