カリスマ経営者・信越化学の金川千尋社長が交代、産業界注目の記者会見詳報
信越化学工業は5月20日、森俊三副社長(72)が6月29日付で社長に昇格する人事を発表した。金川千尋社長(84)は代表権のある会長に就く。
森氏はパキスタンやニカラグアなどの海外工場の設計に携わった技術屋で、1992年に取締役就任。96年から電子材料事業本部長を務め、総務関係や人事関係も担当する(現任)。副社長には昨年6月に就任していた。
金川氏は1990年に社長に就任。同社を塩化ビニール樹脂と半導体シリコンウエハーでそれぞれ世界トップメーカーに躍進させた。20年に渡って経営の指揮を執ってきたカリスマ経営者が社長職を後任に譲る。金川社長は「今後は代表取締役会長として今まで以上に収益の向上に専念する」と森新社長をサポートしていく考えだ。
化学業界のみならず産業界関係者の多くが注目するトップ交代。20日、東京・大手町の本社で開かれた記者会見の主な一問一答は以下のとおり。
−−金川社長はいつ森さんに後任を打診したのか。
(金川)ずいぶん前。1年以上前から考えていました。昨日今日思いついた話ではない。ずいぶん長い間社長をしていますし、今年中にはとにかく辞めようと2~3年前から考えていました。
−−森さんはいつお受けになったのか。どのように感じたか。
(森)金川社長から話をいただいたのが連休前の4月の中頃。私も長い間、金川社長の下でやって、今までの経営の難しさというのも、直接間接的にいろいろご指導をいただいておりましたから、いかに経営は難しいかということで悩みまして、すぐにお答えができなかった。連休が明けたところで、とにかく今までの経営を社員全員に、信越グループ全体に伸ばしていかなければならないのでお引き受けしましたが、大変に悩みの多いことで、お引き受けしたからにはとにかく頑張って全身全霊取り組みたいと思っております。