「ウイスキーお湯割りと和菓子」超意外な相性の妙 続く宅飲みでの新たな体験は梅雨でもお湯割り

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お茶をたてるように丁寧に入れたウイスキーお湯割りと甘味。バーテンダーに、自身をも癒やすお酒の楽しみ方を教えてもらいました(撮影:萬田康文)
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日本各地の都市部を中心に、飲食店でお酒を飲めない日々が続いている。こんな日々こそ、自宅で新たなお酒との出会いに繋げたい……。「普段、仕事でお酒を扱っている人はオフの時間、どのようにお酒に癒やされているのか」を探ってみたら、新しい発見があった。
取り上げるお酒は、世界的なブームに沸くウイスキー。それもお湯割り。こんなに暖かい初夏にホット? と驚くなかれ。梅雨の合間の肌寒い日や冷房で冷えすぎてしまったとき、温かいお酒は身体だけでなくほっと心も緩ませてくれる。ウイスキーの魅力を知り尽くすバーテンダーに、自身をも癒やすお湯割りのプロならではの入れ方、楽しみ方を教えてもらった。

コロナ禍真っただ中、バーの店名を変えて内装も一新

コロナ禍での営業自粛要請の筆頭に上がったバーは、この状況において苦境に立たされている代表的な形態のひとつと言えるだろう。

だが、東京・南青山でバーを営むバーテンダー・佐藤博和さんは、コロナ禍真っただ中の2020年11月、自身のバーの店名を「bar cafca.」から「城.」へと一新し、内装も大きく変えた。この知らせを聞いたときは一瞬、暗い想像がよぎったが、佐藤さんの答えはそんな邪推をあっけなく吹き飛ばす前向きなものだった。

「こんなに考える時間があって、物理的に改装時間を充てられることはこの先なかなかないでしょう。よりよい方向に進めるよう、今やれることをやってしまおう、という考えからです」

東京・南青山「城.」オーナーバーテンダーの佐藤博和さん(40歳)。ホテルのバーやコーヒー専門店で研鑽を積み、異業種から転身して2012年に自身のバーを開店した(撮影:萬田康文)

開業から10年目。せっかく浸透した店名「bar cafca.」を、「城.」へと変えたのは、次のような理由がある。

「フランツ・カフカの未完の小説に『城』という作品があります。主人公がある城の主から仕事を依頼されて城を目指すのですが、人間関係や恋愛関係といったいろんなトラブルに足を取られて、いっこうにたどり着けない。

このトラブルは、生きていれば誰しもが経験するような些末なことなんです。誰しもこの主人公にとっての城のように、人生を通して追い求めているものがあると思うんです。物なのかお金なのか、人なのかあるいは渇望のような欲求なのか。それがそれぞれにとっての城です。

城を目指す長い道のりのなかで、一息つくために立ち寄ってもらえる場所にしたい、というのが店名の理由です。このバーが城なのではなく、城を目指すために一息つく場所、ということです」

コロナ禍真っただ中、店名を「bar cafca.」から「城.」へ。「城」の文字の欠けている部分にお気づきだろうか? フランツ・カフカの未完の小説やたどり着けないそれぞれの目的地に掛けてのこと(撮影:萬田康文)
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