「ウイスキーお湯割りと和菓子」超意外な相性の妙 続く宅飲みでの新たな体験は梅雨でもお湯割り
お湯割りをつくるべく佐藤さんが取り出したのは、70~80年代の特級時代の“サントリーオールド”と、銅製の小鍋と、陶器の片口。
「父親が渋谷丸山町ですし屋をやっていたとき、店にウイスキーは“オールド”だけを置いていたんです。カウンターの後ろにボトルキープが10本ぐらいずらっと並んでいて。思い出深い銘柄なんです。昔、『恋は遠い日の花火ではない』というCMがあって、中学生ながらにかっこいいなと思っていましたね」
手順は、こうだ。
「匙で混ぜるときは、滑稽なほどゆっくり混ぜます。60回ほど繰り返すと香りがふっと立ってくる瞬間があるので、そのタイミングで火を止めます。温めるとアルコール分が少し飛んでしまうので、それを補うために仕上げにほんの少しだけ原液をフロートします」
お茶を入れる感覚でつくるウイスキーお湯割り
佐藤さんが丁寧に淹れたお湯割りをさっそく味わわせてもらった。特級時代の“オールド”ということもあるだろうが、極めて柔らかく、まろやか。きつさやとがった感じがまるでない。手間をかけた作法が如実に味わいに表れている。
「温かくして飲むと体の中からリラックスできて、いっそう肩の力を抜くことができます。ウイスキーのお湯割りは甘味、とくに和菓子とも相性がいいんです。自宅では冷やし汁粉をつくって合わせたりもします。缶詰のゆであずきを漉して水と合わせて冷やすだけと簡単です。温かいお酒と冷たい甘味のコントラストも楽しいですよ」
この日は、栗きんとんと合わせてお湯割りを楽しんだ。甘すぎない栗きんとんと滑らかなウイスキーが口中で混じり合い、相乗し、よりリッチな味わいになる。
佐藤さんが、お湯割りを「お茶を飲むような感覚で」と表現した理由が腑に落ちた。もちろんアルコールが含まれるのでお茶とは違うが、少しの手間と気遣いで格段にまろやかになり、心身をリラックスでき、甘味と合わせたときにさらに多幸感が増す。「酔う」ために飲むというより、「緩む」ために味わう、と言ったほうがしっくりくる。
なかなかバーに足を運べない日が続いている今、自分のために最高のお湯割りをたてる夜があってもいいのではないだろうか。
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