月9で「戦隊モノ」のようなドラマが量産される訳 時代は恋愛よりもヒーロー群像劇を求めている

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どうしてこんなにヒロイックなドラマが量産されているのか? やはり2020年4月から、ドラマのヒットの指標として「世帯視聴率」ではなく「個人視聴率」が最重視されるようになったことが大きいだろう。

筆者もいまだに感覚として慣れていないので、ここで一度、整理しておきたい。個人視聴率とはパーセンテージで表示されるが“視聴者数”に近い指標である。

例えばもし日本が100人の村だったら、4人家族の世帯が25あるとして、ある番組の世帯視聴率が15%ならそのうち3から4の家でチャンネルが合わされていたことになる。ただし、それぞれの家庭で何人が見ていたかはわからない。

一方、個人視聴率が8%なら、100人のうち8人が見たという換算になる。小学生の子供2人と40代の親2人が見ていた家庭もあれば、夫婦2人のみ、または母と中学生の娘が見ていた家庭もあり、これで合計3世帯8人ということに。

ちなみに、どのぐらいの数字を取れば合格点かというと、2020年の個人視聴率三冠王を達成した日本テレビのプライム帯(19〜23時)平均個人視聴率は6.8%だ。

TBS、フジが重視する「新しい視聴者層」とは

そこからさらに個人の年代を分類し、例えば20代の女性など、テレビのCMがリーチしたい層に見られているかを測れるのが個人視聴率。

ここで重視されるのはTBSが「新ファミリーコア層」とする4~49歳、フジテレビが「キー特性」とする13~49歳の層だ(両局社長会見より)。

つまり中学生から大人の現役世代までに向けた題材で、小学生も一緒に見られるとなおよしということになる。TBS社長は3月の定例会見で「ドラマなどでは新ファミリーコアを含む家族で見ていただいて、大勢の人に見ていただくALLの視聴率も大事にしていきたい」と語っている。

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