月9で「戦隊モノ」のようなドラマが量産される訳 時代は恋愛よりもヒーロー群像劇を求めている

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そして、6月21日からはいち早く夏ドラマの『ナイト・ドクター』が始まる。これは大病院の夜間救急専門チームの奮闘を描くドラマで、主演の波瑠を始め、田中圭、岸優太(King & Prince)、岡崎紗絵、北村匠海の5人が救命医を演じる。

さらに、次の10月クールは同じく病院ものである『ラジエーションハウスⅡ~放射線科の診断レポート~』。

窪田正孝が演じる放射線技師が主人公で、「シーズン1最終話で個人全体視聴率:8.3%(世帯視聴率:13.8%)」(公式サイトより)を獲得したヒット作の続編だけに、こちらも手堅く数字を稼ぎそうだ。

「戦隊モノ化」する日本のドラマ

しかし、番組のポスターカットを並べてみると、主人公とその仲間がユニフォーム姿でずらりと並ぶビジュアルはまるで“ニチアサ”(テレビ朝日系で日曜朝に放送する仮面ライダーとスーパー戦隊シリーズの愛称)のようである。

月9は『コード・ブルー』『絶対零度』『監察医 朝顔』『ラジエーションハウス』など手堅い職場チームものを作りシリーズ化すればするほど、スーパー戦隊に近づいてくる。さしずめ、『ナイト・ドクター』なら、波瑠の演じる正義感の強い救命医は(女性だが)戦隊ヒーローのレッド、田中圭演じる11年目の医師がブルー、若手の3人がイエロー、グリーン、ピンクといったところだろうか。

同作の野田悠介プロデューサー(『コード・ブルー』特別編などを制作)は、このドラマを「夜の病院で戦う5人の青春群像劇」だと位置づけている。

『イチケイのカラス』の成功についても、フジテレビの社長は「竹野内豊さん演じる入間裁判官の、人懐っこく飄々としながらも真実から逃げないキャラクターが、新しい時代のヒーロー像として受け入れてもらえれば」と語っており、“戦うヒーロー”が今の月9が目指すものであるのは間違いなさそうだ。

戦隊モノ化していくのは月9だけではない。本家のスーパー戦隊シリーズを制作するテレビ朝日×東映の大人向けサスペンス『科捜研の女』『特捜9』や新作『IP~サイバー捜査班』(7月1日スタート)はもちろん、7月クールでは鈴木亮平主演の日曜劇場『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(TBS系)もかなりニチアサに寄せてきた。

『TOKYO MER』も『ナイト・ドクター』と同じく救命救急医ものだが、こちらには交通事故や災害の現場に駆けつける専用車両“ERカー”が登場。最新鋭の医療機材とオペ室を備えるこのトラックは実際にはなく、架空の設定だという。いわば夢の救急車だという点も、スーパー戦隊シリーズに出てくる、主人公たちの出撃基地となる近未来的なマシンのようだ。共演の賀来賢人はこのドラマについて、「アベンジャーズ感がある」とコメントしている。

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