Apple Watchで「心電図」取れる事の重大な意味 アプリ経由で「慶応病院」に診断してもらえる
ただしアメリカで行われた最初の臨床試験では意外なことがあった。心臓に問題を感じたユーザーがECGを計測して送信しても、心疾患が確定するわけではない。アメリカでの臨床試験で、本人が異常を感じてECGを計測、送信したケースでも実際に心房細動だと診断できたのは34%にすぎなかったという。
ではApple Watchによる心電図診断機能は有益ではないのだろうか?
実はそれほど単純な話ではない。そもそも病院での心電図計測においても、確実に病状を診断できるだけの計測結果を集めるには時間がかかる。
「心電図は症状を感じないときに計測しても意味がありません。なぜなら異常が起きていないとき、心臓は正常に動いているからです。いつ起きるかわからない心房細動が起きたそのときに、心電図を計測できる環境が重要なのです。年に一度の健康診断では異常を見つけることはできません」(木村医師)
このため、心疾患が疑われる場合は病院に一定期間入院し、つねに心電図を取り続けるか、あるいは取り外しができない計測器を胸に付けたまま心電図のデータを取り続け、後から分析するといった手法にならざるをえず、診断まで時間がかかり、コストも高かった。
しかし、Apple Watchがあれば、いつでもどこでも、異常を感じたその場で心電図を記録、送信できる。
ヘルスケアアドバイザーのような機能
日本でのECG機能認可に合わせて慶応義塾大学がアプリベンダーのアツラエと共同開発したアプリは、アメリカでの臨床試験アプリをそのまま後追いしたものではない。アップルが用意しているHealthKitと呼ばれるヘルスケアデータを扱うための仕組みを利用してはいるが、コンセプトは特徴的なものだ。
Heart Study AWでは臨床試験参加者に、1クール7回(毎日である必要はない)の睡眠記録を求め、起床時の体調や前日の飲酒の有無など簡単な質問を記録。睡眠記録機能はApple Watch標準の機能を用いるが、そのデータを元に簡単な睡眠へのアドバイスを送る。
すなわち、その日の体調記録と睡眠記録に対してアドバイスを送る簡易的なヘルスケアアドバイザーのような機能が与えられている。
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