歴史上の営みに学び、自分の生き方を考える--『幕末維新に学ぶ現在』を書いた山内昌之氏(東京大学大学院総合文化研究科教授)に聞く

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歴史上の営みに学び、自分の生き方を考える--『幕末維新に学ぶ現在』を書いた山内昌之氏(東京大学大学院総合文化研究科教授)に聞く

「歴史の教訓から政権交代の意味を考える」として、幕末から明治維新にかけ、「国づくり」に参画した日本人53人の生き方を検証した本書が好評だ。著者の描くリーダー像とは。

--吉田松陰(よしだしょういん)から始まります。人物の選定基準は。

率直に言えば、自分の好きな人間から取り上げたかった。一大変動期には、必ず埋もれる人間がいるもの。なるべくそういう人たちを歴史の暗がりから引っ張り出して紹介した。プロの日本史研究者の関心とは、同じではないかもしれない。

--松陰による孔子の言葉の引用が選定や記述のベースにある?

孔子は、空言(くうげん)(抽象的な言葉)よりも行事(こうじ)(具体的な仕事)で考える手法を大事にしたという。歴史の具体的な「営み」に学びながら自分の生き方を考える。これが吉田松陰の考え方だった。極端な局面では時代は違え、人間の思考や反応のパターンはさほど違わないものだ。

--各人物の項目とも、現代の政治家に触れていますね。

元原稿が週1回の新聞連載だから、現実政治との兼ね合いの注文もつく。現代の政治家の誰を取り上げるか。むしろこういう構図を幕末維新の人間でいうと誰かと考える。しだいに現代の政治家の固有名詞が出る割合が多くなった。

--ピッタリと重なりますか。

そういう人間もないわけではないが、まず何が今のトピックか、から考える。たとえば鳩山総理のような自己中心的な判断がどこからくるのか。幕末維新なら徳川慶喜が当てはまることはわかりきっていて、すでにこの本でも触れた。だが、違うところもある。実際、佐久間象山的な要素もあるし。

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