実名報道も解禁!「少年法」厳罰化に抱く重大懸念 成人と同じ刑事手続きで処罰される根拠が希薄

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例えば、軽微な刑事事件の場合、成人は不起訴処分になったり、起訴されても執行猶予や罰金刑で処理されたりすることも多い。

ところが、少年の場合は、軽微な刑事事件であったとしても、家庭環境や成育歴、その少年が抱えている問題などが大きいときには、保護をする必要性(要保護性)が高いとして、少年院送致などの「重い」保護処分が選択されることもありうる。

少年法が少年にとって「甘い」面ばかりでないことは、もっと強調されてもよいと考えている。そして、このような少年法の機能によって、少年非行対策はかなりの程度機能し、再犯などを防止していることも一般に承認されている事実である。

少年法は、なにより罪を犯してしまった少年の「立ち直り」を真剣に考え、科学的なアプローチにより、それを実践することを目指している。これは犯罪対策としては、かなり先進的な取り組みであり、見方を変えれば成人の犯罪対策よりも手厚い扱いをしているということでもある。

実名報道が禁止されている理由

そして、過去に犯罪をするなどして「失敗」をしてしまった少年が、再び社会に帰ってきて、まっとうな成人として生活をしていくための制度的な仕掛けも少年法は用意をしている。

その1つが、少年法61条が定める「本人推知報道禁止」規定である。

少年法61条は、

「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。」

と定めている。

実名が報道されて身元が明らかになることにより、社会に戻ってくることが困難になると考えられる。犯罪報道にあたって少年の個人情報を明らかにする必然性は必ずしもないことから、少年法は、本人推知報道を禁止している(罰則はないが、これに反した場合、不法行為による損害賠償請求責任を報道機関が負う可能性がある)。

ほかにも、懲役刑の場合の不定期刑、仮釈放の時期の早期化など、少年の立ち直りを重視した規定を少年法は設けている。

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