実名報道も解禁!「少年法」厳罰化に抱く重大懸念 成人と同じ刑事手続きで処罰される根拠が希薄
保護処分には、保護観察所の保護観察処分という社会内で少年の今後の更生を見守っていく処分と、少年院、児童自立支援施設、児童養護施設などの施設に収容して教育を行う処分がある。
特徴的なのは、家庭裁判所調査官という専門職による調査が行われる点にある。家庭裁判所調査官は、人間行動科学の専門家であり、少年鑑別所における鑑別の結果をふまえて、少年、保護者または関係人の行状、素質、環境等について、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識を活用して調査を行うこととされている(少年法9条)。
家庭裁判所調査官は、専門的な観点から、少年や保護者からじっくり話を聞いて、非行事実をきっかけとしながらも、少年の家庭環境やこれまでの成育歴に問題がなかったか、あるとすれば、どのように改善していくことができるかを働きかけながら調査する。
また、審理を行う少年審判も、非公開で行われ、
と、審判を受ける子どもの心情に配慮した人間味あふれる温かい手続きとすることを少年法は求めている。
実際、家庭裁判所では、裁判官は、刑事裁判の法廷で着るような黒い服(法服)を着ることなく、通常のスーツ姿で現れ、少年に対しても「〇〇君」「〇〇さん」など親しみを込めた呼び方をするなど、なるべく少年が委縮しないような配慮をしている。
非行に走らないよう成長することを促す機能がある
このように家庭裁判所では、非行を犯した少年に対して、単に、「少年院に送致する」などといった処分を決めるだけでなく、むしろ、家庭裁判所調査官による調査や少年審判などの手続き全般にわたって少年に対する働きかけや環境改善を模索し、関係者の協力を得ながら、少年が再び非行に走らないように成長していくことを促す機能(「ケースワーク機能」「福祉機能」「教育機能」などと呼ばれている)を持っている。
これは一見すると少年を「甘やかし」ているように見えるかもしれないが、実際は、「甘やかす」というよりも、少年に対する、手厚い「おせっかい」を大人たちが行うことで、少年が今後成長して成人になっていくための手助けをしているのが少年法なのである。
そして、このような「おせっかい」は、少年にとっては、成人と同様の刑事手続きで処理されるよりも負担が重くなることもある。
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