IMFはギリシャ経済の救世主となれるのか--ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授

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 しかしながら、金融危機で状況は大きく変わった。今やIMFは絶大な影響力を手に入れつつある。09年4月に、G20の指導者はIMFの融資能力を4倍に拡大することを承認した。この融資枠の拡大は唐突で過剰であったが、これによってIMFは巨額の資金を確保できることになった。欧州にとって、この融資枠拡大は絶好のタイミングで行われたと言える。

次なる危機が起きるのは日本、中国かもしれない

IMFの支援によって、欧州の債務問題は終焉を迎えるのだろうか。そうとは言い切れない。IMFは欧州に無償の贈り物をするわけではない。破綻に直面した国が財政赤字を解決するまでの“つなぎ資金”を提供するにすぎない。

ときには90年代の中国のように債務問題を自ら解決することができることもあるが、通常、破綻国家は痛みを伴う財政調整を迫られるものである。たとえ債務不履行やインフレを避けられたとしても、大半の国は大幅な増税と歳出削減を迫られ、その結果、リセッションを引き起こすか、あるいは、リセッションをさらに深刻なものにする。

景気悪化を招くリスクを冒さずに緊縮財政を行うことは、ギリシャに限らず、巨額の財政赤字を抱える欧州の国々にとっても厳しい選択だ。どの国もIMFからの次なる借入国になりたいとは思っていない。

また、IMFが救済に乗り出したからといって、債券保有者が責任を免れるわけではない。IMFの救済を得ても、最終的に破綻してしまった国の例は多い。最も有名な例は、02年のアルゼンチンの破綻である。ほかにインドネシアやウルグアイ、ドミニカなどの例もある。

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