日経平均の潮目が変わったと言える「明確な証拠」 ただし今の局面での「一気の強気」は禁物だ

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実はこれで「8連続の陽線」(28日の600円高で9連続)で「8陽連」となった。この意味でも27日の引けは重要だったわけだが、チャートの見方では「5陽連」で「上層相場スタート?」となり、「8陽連」でいよいよ「スタート決定!」とみなすという、これもチャートの鉄板的見方だ。

さて、3月期本決算企業の発表が終わった。全産業の純利益は2年前である2019年3月期の「8割水準」まで回復した。だが、コロナ禍の影響で赤字会社も多く、とくに交通系の数字は惨憺たるものだった。何しろ鉄道・バスは1兆4893億円、空運は7013億円の赤字である。

しかし、日本航空やANAホールディングスのチャートを見ればわかるとおり、すでに底を打っており、ANAHDにおいてははっきりとした上昇波動が見て取れる。

変化は時に突然やって来る

個人的なことで恐縮だが、筆者は本業の1つであるテレビのコメンテーターとして、複数の曜日に出演している。その中では金曜日が一番大変だ。というのも、番組の性格上、前場・後場のまとめで「4つのテーマ」を作らなければならないからだ。

そこで、木曜日の出演が終わったあと、金曜日のテーマのネタ作りに取りかかる。主に「兜町雀」たちとの雑談なのだが、ネタと共に彼らから元気をもらう。

もっとも、彼らに言わせると、筆者から元気をもらうとも言ってくれるのだが……。したがって、いつも最後は戦友のように「お互いがんばろう」で電話は終わる。

ところが、先日の5月27日だけはいつもと雰囲気が違っていた。彼らが決して弱気になったわけではないが、元気をもらうどころではなかった。筆者は強気だったのだが、誰ひとり「ここは買い場」という意見はなく、若干寂しい気持ちで受話器を置いた。ここ数年で味わったことのない孤独感だった。

「野も山も皆一面に弱気なら阿呆になって相場を買うべし」という有名な相場格言があるのをご存じだろうか。彼らが弱気になったわけではないが、強気派だった彼らが「しばらくダメだね」と結論づけた翌日28日の急騰を見て、感じるところがあった。何度も経験したことだが、変化はそんなときにこそ起きるものだ。

ただし、ここで一気の強気も禁物だ。わずか2週間前は「2万8000円の攻防」だったではないか。とりあえずここは「2万9000円のモミ合い」で十分と考えよう。大きな相場はまだまだ先なのだから。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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