日経平均の潮目が変わったと言える「明確な証拠」 ただし今の局面での「一気の強気」は禁物だ

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そしてそんな中で相場に火をつけたのが、5月27日の引け値だった。この日も2万8500円の攻防戦だったが、引けは2万8549円と前日比93円安ながら、この日の高値圏だった。警戒されていたこの日の引け(世界的に影響力のあるMSCI指数を構成する銘柄の定期入れ替えがあり29銘柄除外)を無事通過したことは極めて大きかった。

除外となった29銘柄の最近の値動きを見ると、ほとんどの銘柄が3月高値のあと大きく下げ、4月後半から5月半ばで底を打っている。つまり、MSCI指数29銘柄除外の材料はすでに織り込まれており、しかもリバランスが行われた27日の引け値が下がらなかったことで、完全にアク抜けとなったのである。

チャートにも現れていた「明確なシグナル」

さらに大きな反転理由として上がるのが、新型コロナウイルスのワクチン接種の進展期待だ。緊急事態宣言(9都道府県)と、まん延防止等重点措置(5県)の期限終了が6月20日までの延長方針で固まった日の日経平均600円高の意義は大きい。

実は市場では、5月26日に出たオリエンタルランドとその大株主である京成電鉄の大陽線(寄り値より引け値が大きく上がっているローソク足チャートの形)がすでに話題になっていた。

底値またはモミ合い圏で出た大陽線は、チャート上における反転上昇の「鉄板的なサイン」だ。新型コロナウイルス感染拡大が収まらない中で始まったワクチン接種について、マスコミ報道に逆らうような大陽線は、ワクチン効果を評価しているマーケットのシグナルといえる。

またチャートでは、別の「上昇開始シグナル」も出ている。5月27日の日経平均チャートをもう一度見てみよう。十字線(寄り引け同値)のように見えるが、わずかだが陽線(引け値>寄り値)になっている。

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