ベンチャー業界の風雲児という印象がある堀江貴文氏だが、ここまでの動きは妥当で、的を射ている。「ライトなファン層を相手にしたマーケティング」は、プロ野球のトレンドである「ボールパーク構想」に通じる。また地元密着のスポンサー営業は、独立リーグ運営の基本中の基本だ。さらにNPBとの連携も必要だ。
堀江氏は、ソフトバンクグループの孫正義会長や、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長に対して揶揄するような発言をSNSで発して世間を騒がせているが、ホークスとの連携も重要視しているし、楽天生命パーク宮城の「ボールパーク構想化」についてもしっかりチェックし、評価している。したたかだと思った。
筆者は独立リーグの新球団参入を何度も取材している。多くの経営者は大きな夢を語り、球場にたくさんの人を集めたいと熱心に語るが、その多くは短期間で夢破れ、撤退したり他企業の支援を仰ぐことになる。
それに比べれば、堀江氏の考えは、極めて現実的だ。そのうえ「当落線上のプロ野球選手にチャンスを与えたい」と言う言葉でもわかるように「野球愛」もあるのだ。
堀江氏の独立リーグ参入で変わること
「資金」「人材」そして「有望選手」。独立リーグは「足りないもの」ばかりだが、中でも「足りない」のは「信用」ではないかと思う。独立リーグ「徳島インディゴソックス」とサッカーJ2「徳島ヴォルティス」は同じ2005年のスタートだ。当初は、地元での評価は大差がなかったが、ヴォルティスが天皇杯などでJ1の有名チームと対戦したりJ1に昇格したりすると、両者の評価は大差がついた。
日本サッカーのトップリーグに連なるヴォルティスと、あくまで四国の地域リーグで戦うインディゴソックス。地元の報道を見てもステイタスの差は歴然だ。
独立リーグがNPBとの連携を熱望するのも、資本や体制面以上に「日本のトップリーグとつながっている」という「信用」「権威」が欲しいのだと思う。
堀江氏が独立リーグに参入し成功を収めることは、独立リーグがスポーツビジネスとしての正当な評価、そして「信用」「ステイタス」を得ることにつながるのではないか。期待をもって見つめていきたい。
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