山水電気、「オーディオ御三家」の墓標

資金繰りが続かなくなり、破産手続きを開始

このため「オーディオ御三家の山水電気」と言われても、オーディオ業界を知る人間ほど、苦笑いするだろう。かつての山水電気という会社が、そもそも現在まで存続していたとは言いがたい状況だったからだ。

山水電気はまだバブル経済真っ最中の1989年には、すでに資金繰りを悪化させて英国資本の傘下に入った。プリメインアンプというジャンルにおいて圧倒的な強さを誇ったが、その強さが徒となったのか、他コンポーネントへの投資を行わず、”アンプだけのブランド”になっていたことが遠因だ。

単品経営の悲劇

プリメインアンプしか主要商品がない山水電気は、進化と需要が一巡し、オーディオブームが去って製品の投入サイクルが短くなると、あっという間にそれまでのビジネスモデルが破綻した。経営悪化は時流の変化を読めなかったことに尽きる。

そもそもプリメインアンプ以外の主力製品が育っていなかったため、容易に企業体質を変えることはできなかった。収益源を増やそうにも、アンプ技術以外に投資をしていなかった点がネックになった。

英国資本の支援を受けた翌年の1990年には経営破綻。1991年に今度は香港資本の傘下になるが、その後も新たなビジネスモデルが生まれるわけでもなく、「死に体」だった。

今世紀に入り、ふたたび”SANSUI”ブランドを展示会などで見かける機会が増えたが、これは山水電気が復活の狼煙を上げたからではなく、過去に栄華を誇ったSANSUIブランドを使って一旗揚げたいオーディオベンチャーへのライセンス事業を行ったからに過ぎない。オーディオメーカーとしての山水電気は、1990年には終焉を迎えていたと言ってもいい。

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