「昔を懐かしむ人」を批判してはいけない納得理由 ノスタルジア(郷愁)は、実は脳の健康に効く

昔を懐かしむと、幸福感が高まり、うつ病も寄せつけないといいます。いったいなぜなのでしょうか?(写真:kotoru / PIXTA)
ノスタルジアというと、回想に耽ってばかりで過去から抜け出せなくなるという危険性を思い浮かべる方も多いだろう。しかし、過去の著作を合わせ世界累計100万部を突破したベストセラー著者、ジョン・メディナ博士の『ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である』によると、ノスタルジアには認知上のプラス効果があるという。同書から抜粋・編集してお届けする。
カーネル・サンダースとKFCの大成功
KFCレストランの屋根の上で今も回るチキンバーレルの看板を見ると、わたしはいつも郷愁(ノスタルジア)を覚える。幼い頃のわたしは、母と一緒に、よくKFCレストランに行った。当時、カーネル・サンダースはまだ健在だったが、会社をすでに売却していた。
自分の手を離れてからKFCのチキンはひどいものになってしまった、と彼は立腹していた。同社のエクストラ・クリスピーチキンを「まずい練り粉でくるんだチキンの揚げ物」とこき下ろしたほどだ。
それはともかく、彼は、控え目に言っても多彩な経歴の持ち主だった。タイヤを売り、ホテルを買い、フェリーボートの会社を設立し、ペンキ塗りをし、結婚を数回経験し、戦地では死者が出るような激しい銃撃戦に巻き込まれた。
だが、サンダースが大いなる成功を収めたのは、年金をもらえる年になってからだった。まさに脳にとっていい、「引退しないことの威力」を体現したのだ。彼は1952年、62歳でフランチャイズビジネスを始めた。その後10年にわたって独自のレシピを全米の店にセールスしてまわり、ついには数百のフランチャイズ店を抱えるまでになった。
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