なぜいま、企業のパーパスが問われているのか 私達はまだ株式会社の正しい使い方を知らない
この克服は所有と支配の分離によって実現される。所有と支配の分離はフリードマンが株式会社の欠点と見ていたものであるが、これこそまさに、株式会社が異なる当事者にそれぞれ提供するコミットメントのバランスをとりつつ、それらの当事者に対し支配権を行使することを可能にする、株式会社の属性である。
したがって、株式会社はその掲げる目的をほぼ無限に組み合わせることができるだけでなく、その株式所有構造やガバナンスを通じて、それらの目的を実現する手段も持っている。
株式会社はその掲げる目的の実現にコミットするための装置であり、株主、従業員、政府などの特定の利害関係者による拘束からいったん解放されると、多大な利益を顧客や地域社会にもたらすことができるようになる。
このような株式会社、資本主義、支配の再位置付けは、コペルニクス的転回が天文学に対して持っていたのと同様の根本的な含意を持つ。
惑星が地球の周りを回転していないのと同様に、株式会社、企業、公共政策は株主を中心に展開されるものではなく、展開されるべきでない。
株式会社は、先進国の格差拡大の解決にも役立つ
多様な株式会社制度がそれぞれの目的を持ちながら存在し、そして惑星系が多様性で満ちあふれているのとまさに同様に、株式会社制度を生み出したわれわれの世界には多様な株式会社が存在しているのである。
株式会社は良き企業活動の成果、国家の競争上の優位点、政府が掲げる目標の達成にとって中心をなすものである。
株式会社は経済効率性のみならず、所得や富の分配を決定し、そして先進国における格差拡大の中心に位置するものである。
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