なぜいま、企業のパーパスが問われているのか 私達はまだ株式会社の正しい使い方を知らない
日本でもパーパス経営の重要性が問われるなか、過去半世紀にわたり、企業のあるべき姿を規定してきた「フリードマン・ドクトリン」に真っ向から立ち向かう書籍『株式会社規範のコペルニクス的転回』が翻訳出版された。
世界の知性を輩出してきたオックスフォード大学のMBAコース設立に初期から関わり、たくさんのビジネスエリートを教育してきたコリン・メイヤー教授が伝えたいメッセージを、同書より抜粋・編集して紹介する。
フリードマン・ドクトリンとは何か
ほとんどのビジネス書は、企業が負う社会的責任はただ一つであり、それはゲームのルールの範囲内でより多くの利潤を上げるために有する資源を用いて活動することと考える。
このような考え方は、提唱者である著名な経済学者、ミルトン・フリードマンの名前にちなんで、フリードマン・ドクトリンと呼ばれている。
このドクトリンは強力な概念であり、半世紀にわたって全世界の企業実務や政府の政策を方向付けてきた。また、何世代にもわたりビジネス・リーダーに影響を及ぼすビジネス教育の基礎となってきた。
実際上すべてのMBAコースは、企業の目的は株主価値の最大化であり、それがすべてであるとの前提から始まり、残りのプログラムはそのような考え方に従って行われているのである。
このような考え方が人々の行動に与える影響は、今や多くの人々がフリードマン・ドクトリンは自然法則であり、そこから逃れることはできないと信じるまでに達している。
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