PC前で「忙しい」と言う人ほど仕事をしていない ビジネスパーソンの価値は「思考」の量で決まる

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付加価値を生み出さない「作業」の時間を限りなく少なく、気持ち的にはゼロに近づけて、「思考」の時間をその分増やすことが、仕事で成果を上げることにつながるのです。

私はシステム開発の世界で仕事をしてきました。3年目にプロジェクト・マネジャーとなり、それ以降プロジェクト・マネジャーが私の専門職となり、キャリアの多くの年数をトラブルプロジェクトの火消し役として過ごしてきました。

私の仕事は、大炎上トラブルを鎮火し、システムをサービスインさせることでした。そのために山積する課題を解消し、未来の起こりうるリスクに予め対処し、チームのパフォーマンスを最大化することでした。それを成し遂げることが、私の仕事の成果でした。

その成果に到達するためには、1日24時間という限られた自分の時間をできるだけ「思考」に投入しなければなりません。とすると自然に、付加価値の低い「作業」の時間をゼロに近づける必要に迫られたのです。

仕事でパソコンを使わないわけにはいきませんが、パソコンを使った「作業」に時間を取られれば取られるほど、課題解決のために考える「思考」の時間が削られていきます。

パソコンの「作業」時間をゼロにすることはできません。でも、できることならゼロにしたい、という気持ちでした。キーボードをたたくこともマウスを動かすことも、その時間は、プロジェクトの前進にたいして貢献しないからです。仕事を進め、価値あるものにするのは「思考」なのです。

「5分の思考」と「5分の作業」の価値は違う

ビジネスパーソンがより大きな成果を上げるためには「思考」の時間を増やさなければなりません。頭を使って考えに考え、考え抜く、ということにより多くの時間を費やせるかどうかが成果を左右します。その「思考」の時間を捻出するために「作業」のスピードをアップする必要があるのです。そして、1日の多くの時間を費やす「パソコン仕事」に、その改善余地がたくさんあるのです。

「思考」の時間は5分でも10分でも増えると、大きな恩恵を生みます。「たかだか5分、10分」と思うかもしれませんが、「思考」時間の5分、10分というのはかなり大きなものです。

試しに、いまから5分、何か1つ自分の仕事の課題についてテーマを決めて、それについて考え続けてみてください。

まず、1分もするとある程度のことは考えられたのではないでしょうか。さらにそれを5分も続けていると、結構いろいろなことを考えられると思います。ですが、実際には5分も同じテーマについて考え続けられた人はいないのではないでしょうか。気づくとほかのことを考えたりしていたと思います。

そうなのです。思考の時間というのは連続で長い時間が必要というわけではありません。ちょっとした時間でも捻出できると、思考の時間としては十分な時間となるのです。実は、思考のスピードというのはとてつもなく速いのです。一方で、持続力はあまりありません。

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