日本人が知らない「中小企業M&A」、加速する4理由 公表されていない「本当」の日本のM&A市場は?

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弊社で仲介した案件でも、買い手が未上場企業であれば、プレスリリースが行われないことがほとんどですし、われわれのような仲介会社が関与せずに、売り手と買い手が秘密裏に直接交渉してM&Aを実行しているケースもかなりあります。

『2018年版 中小企業白書』では、M&Aの相手先をみつけたきっかけとして、「第三者から相手先を紹介された」が約4割で、「相手先から直接売り込まれた」「自社で相手先を見付けた」の合計が約6割という調査を紹介しています。 

実は「多くのM&A」が公表されていない

また「マイクロM&A」ともいわれる零細企業・事業のM&Aも広まってきており、大部分の「中小零細企業のM&A」は公表されません。よって、実際に行われているM&Aの件数は、公表されている数の数倍はあるはずです。

日本には企業が約350万社ありますが、1人や2〜3人でやっている会社も多く、「M&Aの対象となりうる企業は200万社程度」でしょう。私は、その200万社の1%に当たる2万件程度のM&Aが毎年行われていると推測します。

では、今後もM&Aは増えていくのでしょうか? 結論から言うと、私は「中小企業のM&Aの件数は増えていく」と考えています。その理由は、おもに4つあります

【理由①】子どもが継がず、親も継がせたくない

かつての日本では、「親が商売をしている場合は、子どもはそれを継ぐのが当然」という伝統がありました。

ところが、現在ではますます「個人の多様な価値観を認めるべき」という風潮があり、親としても必ずしも子どもが会社を継ぐことを期待しなくなってきました。

子どもの側としても、サラリーマンとしてある程度満足した会社生活を送っていたり、医師、弁護士、会計士などの専門職についていたりすれば、「あえてリスクの高い家業の経営はしたくない」と思う人も増えています。

「リーマンショック」「東日本大震災」「コロナ禍」を経験し、事業経営の不確実性を切実に感じたオーナー経営者もいます

彼らは社内に自分の子どもが勤めていても、必ずしも「継がせるのがいい」とは考えません。結果として、「第三者への譲渡を決断する」というケースが増えています。

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