コロナで目算狂った人々を襲う修羅場のリアル

自粛や需要構造変化などに伴う苦境を脱せるか

今年3月初旬、平日夜の銀座は人通りも少なく閑散としていた。この街で働く人々はかつてない苦境を迎えている(撮影:今井 康一)
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「会社の売却を検討してみませんか?」

焼き鳥居酒屋「鳥幸」などを展開する東京レストランツファクトリー(東京都目黒区)のもとには最近、M&A仲介会社が訪れ、こんな提案をするようになった。安倍晋三前首相や菅義偉現首相らが“ひいき”にしていることでも有名な同社は、最近では自宅で焼く「焼鳥ミールキット」をヒットさせるなど、新型コロナ禍でも確かなブランド力と営業力を発揮している。

しかし同社も、ほかの外食企業と同様に売上高は激減し、利益が出せない状況にある。未上場企業のため業績は非公表だが、今年度2021年7月期の黒字化は厳しい。

『週刊東洋経済』3月8日発売号の特集は「コロナ倒産 最終局面」です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

このタイミングを買収のチャンスとみているのが買収案件を扱うブローカーたちだ。「あの東京レストランツファクトリーが売りに出るらしい」という真偽不明の情報が飛び交い、ついにはM&A仲介会社が来訪する事態になった。

同社の春日英誉取締役は東洋経済の取材に「この機に乗じて安く買い叩こうとしてくる人が多いが、安易に売却する気はないというのがオーナーの方針だ」ときっぱり答える。「人件費の圧縮や本社機能の統合などで固定費削減を進めてきた。今期の黒字化は厳しくとも、長期的には利益を出せる構造を築けた。M&A仲介の方には、逆に『買える会社があったら教えてください』と伝えておいた」と言う。

【2021年3月10日15時05分追記】初出自、春日英誉取締役のコメント引用の一部に不正確な部分があり、上記のように修正しました。

3月8日発売の『週刊東洋経済』は「コロナ倒産 最終局面」を特集。外食や旅行・観光、アパレル業界などコロナが直撃している業界をリポートした。あわせてM&Aや事業売却に動く企業の姿も追っている。

見落としがちな「BtoB」ビジネス

一方、見落としがちな業域もある。コロナの影響が大きいのは外食や旅行・観光といったサービス業だが、こうした「BtoC」(消費者向け)業界の陰に隠れているのが「BtoB」(企業向け)の業種、例えば外食企業やホテルに食品を卸す食品卸や、旅行・観光業の一角として近年注目度が高まっているMICEビジネス(国際的なビジネス系のイベント全般を指すワード)などだ。

「もう、これ以上は在庫を抱えきれない。限界にきている」

フランスからフォアグラやトリュフ、キャビアなど高級食材を輸入しているファイユジャパン(東京・品川区)のモラン・フレデリック・ジャック・レーモン代表取締役社長は苦渋の表情で言う。

同社の主な卸売先は帝国ホテルやホテルニューオオタニといった高級食材を扱うホテル、レストランだが、昨年4月に緊急事態宣言が発出されると一斉に営業が止まり、注文が入らなくなった。

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