カインズ突き放す「DCM・島忠」連合誕生の衝撃 ホームセンター業界でなぜM&Aが続くのか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
関東地盤の島忠はホームセンターと家具業態を展開している(写真:島忠提供)

活況に沸くホームセンター業界で、ついに大手が動いた。

業界2位のDCMホールディングス(HD)は10月2日、業界7位の島忠を完全子会社化すると発表した。1株あたり4200円で島忠に対してTOB(株式公開買い付け)を実施して完全子会社化する。

今回の買収では最大で1630億円を投じる。安くはないように見えるが、島忠は利益剰余金1500億円超を有する実質無借金企業だ。純資産は約1800億円のため、負ののれんが200億円近く発生する。買収価格の4200円は、TOBに関する報道の出る直前の株価(9月18日終値)に45.93%のプレミアムをつけているが、実はかなりお買い得な買収と言えるだろう。

両社の直近売上高を単純合算すると5836億円となり、業界首位のカインズ(売上高4410億円)を大きく引き離すことになる。

【2020年10月12日17時55分追記】初出時のグラフに「ナフコ」が抜けておりました。表記のように修正いたします。

20年前と変わらぬ市場規模

「今、ホームセンター業界はいい方向に動いているが、中長期的には他業界との競争も厳しくなってくる」

2日に会見したDCMHDの石黒靖規社長は危機感をあらわにする。コロナ禍の巣ごもり需要で既存店売上高が増えているが、市場規模は20年前から4兆円前後で横ばいのまま推移している。その一方で、ホームセンターの店舗数は増え続けており、各社は生き残りをかけた経営改善に力を注いでいる。

2006年にカーマ、ダイキ、ホーマックが経営統合して発足したDCMHDはこれまでも規模拡大を追求してきた。2015年にはサンワドー、2016年にはくろがねやを完全子会社化。関東地盤のケーヨーにも約20%を出資して持ち分会社化している。最近はプロ専門店のホダカや小型店のニコットの出店を増やしており、37都道府県に677店舗を展開している(8月末時点)。

次ページホームセンター界で相次ぐM&A
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事