カインズ突き放す「DCM・島忠」連合誕生の衝撃 ホームセンター業界でなぜM&Aが続くのか
島忠はホームセンター向けのPB強化には慎重姿勢だった。「家具は自社開発のものが多い」(同社幹部)と語るように、高単価な家具が利益を下支えしてきたことが大きい。家具こそが競合他社とは一線を画す、島忠の強みだった。
しかし、コロナ禍でそうした強みが失われつつある。ホームセンター各社がコロナ特需に沸いた4~5月、島忠だけは既存店売上高が減少に転じた。とくに足を引っ張ったのが家具業態で、3~4月の繁忙期に需要が落ち込み、緊急事態宣言中の店舗は休業に追い込まれた。
6月からプラスに転じたが、9月は再び既存店売上高が落ち込んでいる。「(好業績は)コロナによる一時的な上昇。これを超えるには、これまで抱えてきた課題を解決しなければならない」(島忠の岡野恭明社長)。
DCMから島忠に買収を持ち掛け
島忠は現状打破を狙い、2020年8月期からPB開発をスタートさせた。岡野社長は会見で「粗利率改善に向けてPB開発を掲げてきたが、スピードを上げるためには、DCMHDのPB商品を導入できることは大きなメリット」と自前路線からの決別を事実上宣言した。
ホームセンター業界では「買収話は大手から順に持ち掛けられる」(大手ホームセンター幹部)。当然、DCMHDにも話が舞い込んだはずだが、日本中をコロナ禍が覆った5月末、「DCM側から島忠に買収の協議をもちかけた」(同社の石黒社長)。
両社の経営統合により、これから再編が一段と加速する可能性がある。DCMHDは、持分法適用会社で関東地盤のケーヨーとPB商品を含む仕入れを共通化しており、現在20%の出資比率を引き上げる可能性もささやかれてきたが、「システム統合の問題などもあり時間がかかる」(石黒社長)と言葉を濁している。
ホームセンター業界は地域色が強い業態ということもあり、大手チェーンから地場企業まで多くがひしめき合う状況が続いてきた。しかし、店舗が過剰な状態で各社の競争が激しくなれば、上位9社がシェア6割超を握る構図が加速し、さらなる淘汰・再編は避けられないだろう。
DCMホールディングスの株価・業績 は「四季報オンライン」で
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら