カインズ突き放す「DCM・島忠」連合誕生の衝撃 ホームセンター業界でなぜM&Aが続くのか

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ホームセンター業界では近年、M&Aが相次いでいる。同3位のコーナン商事は2019年にプロ用建材資材卸の建デポをLIXILから約240億円で買収し、2020年2月には関東地盤のホームセンターのドイトをドン・キホーテ親会社のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスから約68億円で事業買収している。

そして、6月には業界11位のアークランドサカモトが、同6位のLIXILビバを約1100億円で買収すると発表した。

買収の狙いの1つは、他店と差別化しやすいプライベートブランド(PB)の強化だ。アークランドサカモトは買収のメリットとして「LIXILビバとのPB商品の共通化」を掲げる。各社が開発するPB商品は日用雑貨から資材、園芸用品、ペット用品、作業着など多岐にわたり、在庫リスクを回避するためにも店舗網拡大は必要不可欠となる。

島忠は自前出店を続けてきたが…

DCMHDもPB商品の拡大を進めてきた。売上高に占めるPB比率は21.4%(2020年2月末時点)で、全店舗に導入することでスケールメリットを享受すると同時に、安売りを回避して粗利率の改善に努めてきた。同社は地域ごとに出店ブランドを変えているが、グループ共通仕入れにより一部を除いて取扱商品はほぼ統一されている。

DCMHDではPB商品の開発を強化、全店でPB商品を展開している(DCMHD提供)

一方、買収される側の島忠はこれまで、ホームセンター界に吹き荒れるM&Aの嵐からは一線を置き、自前出店を続けてきた。現在、関東地盤に60店舗を展開し、祖業である家具店とホームセンターの2業態を運営している。

ただ、近年はニトリなど家具専業の台頭が響き、ホームセンターの新規出店ペースも好立地の確保が難しくなっている。新しい業態として雑貨や家具の小型店を開発し、ショッピングセンター内などにテナント出店するなど、店舗の拡大策を模索してきた。

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