親の呪縛で結婚にも踏み出せず「宗教2世」の苦悩 両親が信仰熱心でも子どもがそうとは限らない

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母はいつも「神様が決めた人以外の人と結婚するのは絶対だめ」、「結婚する前に肉体関係を持つことは絶対だめ」と繰り返してきた。理由は「そんなの神様のためにはならんでしょ」だった。Aさんの姉は勝手に3回もお見合いをセッティングされた。

Aさんは「子どものころは『仕方ない、こういうものだ』という気持ちでいっぱいだった」と話す(写真:弁護士ドットコム編集部)

姉は「自由結婚」するために母を3年間説得したが、結局は夫婦で信者となった。

姉夫婦の決断には、Aさんも驚いた。姉の夫は当初、入信に強く反対していたが、母は「知れば正しいとわかる」と10回にわたって講義をおこなった。姉夫婦は結婚と引き換えに「結婚するときに行う儀式で最後だから」と言われ、信者同士が式を挙げる合同結婚式に参加した。

姉の夫は「そんなに言ってくるなら、信者になって辞めたらいいかなと思った」と言うが、その後も「今度はこの儀式で最後だから」と母からの勧誘は続いている。そして、断ると母は一方的に甲高い声をあげてまくし立てる。

Aさんが母から受けてきた勧誘と同じ構図だった。

「断ったら『死んでやる』とヒステリーを起こされて、『わかったじゃあ行くよ』の繰り返しでした。ヒステリックになる母の気を納めるために我慢して参加していました。母にはこれまでの成功体験があるんです。

私たちは大人だから自分のことは自分で決める。そこは線引きしてしっかり言えばいいと思っています。ただ、言われすぎると無気力化する。しんどくなって考えるのをやめてしまう。『もういっか』となるんです」

「虐待ではないか」訴え

普段は母を恨む気持ちもない。ただ、姉に無理やり行事に参加させたという話を聞くと、途端に母への嫌悪感や怒りがわいてくる。

「宗教2世」として自由を奪われてきたAさん。悪いことをしたら全部見られている、という感覚は今も残っている。どんな小さなことでも「どうやったら許してくれるんだろう」、「本当に自分はだめなやつだ」と罪の意識を感じる。

Aさんは「パワハラやDV相談窓口のように、宗教に関する相談窓口があれば」という。

「親が信者でも、自分が信じるかは自由。その自由を奪うことは虐待ではないでしょうか。家族を思うことと信仰の自由は別で、無理やり信仰させるのは間違いです」

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