親の呪縛で結婚にも踏み出せず「宗教2世」の苦悩 両親が信仰熱心でも子どもがそうとは限らない

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宗教2世の人々が教えられてきた価値観と今も根付く悩みとは──(写真:Taka/PIXTA)

親の信仰する宗教のもと育てられた「宗教2世」。弁護士ドットコムのLINEに「どうかこの宗教2世問題をとりあげ、世間にもっと認知させてください」とメッセージが寄せられた。

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

送り主は、ある世界的な新興宗教の2世であるAさん(20代女性)。0歳のころから毎週教会へ連れられ、教えをうけた。

その団体では、信者同士が結婚して子どもをつくることが至上命題とされ、恋愛や自由な結婚は否定された。

女性は幼い頃から行事に参加するのを拒否し続けてきたため、成人後は強く勧誘されることはなくなった。ただ、今も結婚については「相手に一生迷惑をかける」と踏み切れない思いでいる。

恋愛は禁止「結婚相手は神様が選ぶ」

両親ともに信仰熱心だったが、とくに母は教会や行事に参加するよう強く促してきた。幼い頃から徹底して「神様はつねに見ている」と教え込まれた。

「どこかで悪いことをしても神様は全部見ているし、最後死ぬときには録画していたビデオテープを流す。どんないいことや悪いことをしたか見られて、天国か地獄に行くか決まる。神様は全部知っているんだよ」

母親からそう繰り返されると、いつもどこかで監視されているような気持ちになり苦しかった。

恋愛は「サタン(悪魔)が誘惑をしているから堕落してしまう(地獄へ行く)」と強く禁止された。「神様から選ばれた男の人と女の人が結婚して子どもを産むから、相手は神様が選ぶ」ためだ。

情報を寄せたAさん(写真:弁護士ドットコム編集部)

小学生になると「女の子らしくいなさい」と言われ、男の子と遊べば「男の子なんかと遊んで!」と怒られた。

当時から「礼拝に行くの嫌だな」と団体に対する違和感はあった。ただ、拒否することは選択肢になく「こういうものだ、仕方がない」と思うようにしていた。

「『神様のために生きたら、救われるんだよ』と大人が大まじめに言うのを『そんなわけない』と思いつつ、そう口に出すことは許されないとわかっていました」

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