登校苦しい子に精神科医が「堂々と欠席」勧める訳 追い込まずに改善を図る「自主休校式」の進め方

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④未来に向かって動き始める段階

自分の好きなことを楽しみながら、未来にも目を向けられるようになる段階。自分はこれからどうしたいのか、そのために何をするべきかを考え、少しずつ実行に移していくことが第4段階の目的だ。

学校を休んでいた場合、親は「以前と同じように登校すること」を最終目標にしがちです。でも子どもは、学校に戻りたいと思っているとは限らない。学校より先に塾に戻りたい、学校ではなくフリースクールに通いたい……。自分の未来について子どもの出す答えが、「学校に戻ること」以外のものである可能性も想定しておこう。

頭ごなしに反対するのは逆効果

子どもの希望の中には、「学校をやめて俳優になる!」のような、やや突拍子もなく、親として応援しかねるものもあるかもしれない。

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そんな場合も頭ごなしに反対するのは逆効果。「学校には行かなくちゃダメ!」では親の期待を押しつけられているようで、子どもは疎ましく思うはずだ。

でも、「やりたいことが実現できるよう応援したい。そのために今の学校生活のデメリットとメリットの両方について考えてみない?」というアドバイスだったら、親が自分の気持ちを尊重してくれたことを感じとり、耳を傾けたくなるかもしれない。

まずは今の子どもがどういう段階にいるかを見極め、その子に合った目標設定をする。目標が完全にできるようになったら次のステップへ。あせらず、1段ずつ上っていくことが重要だ。

自主休校式を経た親子のかかわりが、これまでよりも少しだけ快適になることを願っている。

井上 祐紀 精神科医(子どものこころ専門医)

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いのうえ ゆうき / Yuki Inoue

1998年岐阜大学医学部卒業。2011年社会福祉法人日本心身障害児協会島田療育センターはちおうじ(診療科長)。2014年公益財団法人 十愛会 十愛病院(療育相談部長)。2015年社会福祉法人青い鳥横浜市南部地域療育センター(所長)。2019年東京慈恵会医科大学精神医学講座(准教授)などを経て、2021年福島県立矢吹病院(副院長)。著書に『10代から身につけたい ギリギリな自分を助ける方法』(KADOKAWA)など。

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