(第5回)「日本の主要企業における新卒採用と中途採用のウェイト」~採用担当者の本音をアンケートで聞く~(その3)

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現在新卒採用がメイン(中途採用比率が2割未満)の企業に、今後中途採用比率をどうするのかを聞いたのが表2である。「未定」を除くと、中途採用の比率を増やすと回答した企業は36%、比率を維持すると答えた企業は58%、減らすと答えたのが6%となり、新卒採用がメインの企業はそれを維持する層が最も多いが、中途採用を減らすより増やす勢力のほうが圧倒的に多いことがわかる。
新卒採用が完全にシーズンレス化した今、多くの企業で迅速な対応を求められる中途採用を念頭に置けば、新卒・中途の両方の枠組みに通用する採用ブランディングの構築がいよいよ必要になってきたと言えそうだ。

●中途採用の構成比2割以上を目指す積極派企業の本音はほぼ二つに大別

「新卒採用環境が厳しく採用対象の拡大を図りたい」
「従業員年齢構成の標準化」
これらは、中途採用の比率が今後上がるとの回答を寄せた企業の代表的な声だ。
また、事業戦略上からの必要性やコンプライアンス強化のための人材確保などが中途採用強化の理由にあげられている。新しい事業展開、成長戦略を推進するキーマンの安定的確保こそが中途採用の拡大を考える大手企業のねらいのようだ。

 

・「事業の拡大、成長戦略のために」(旭化成)
・「酒類事業はもとより、医薬、アグリ、健康・機能性食品、国際化をより一層スピードをもって進める上で、専門性の高い即戦力の確保が必要」(キリンホールディングス)
・「事業戦略上、マンパワー増強の必要性が生じているため」
・「特定の業務に特化した人材が必要となるため」
・「新しい分野での事業に人を投入するため」
・「社内の活性化に貢献、採用活動から入社までの期間が短い中で要員を満たすことができる」

といった回答が見られた。
また、「管理業務を中心に、公的資格の有資格者等を徐々に増やしていく必要があるため」との回答からは、新たに施行される日本版SOX法をはじめとするコンプライアンス強化への対応が読み取れる。
本業の足下をしっかりと固めた保守本流の企業が描くシナリオは、M&Aだけに頼らない自社発の革新本流路線であることは間違いない。そして、そのような成長戦略を推進するキーマンとして、中途人材に期待する企業の姿が改めて浮かび上がったといえる。

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