安倍首相の"長征"がはらむリスク

中国は「米国中心の秩序」に、どう対応するか

2014年6月29日に行われた米国とフィリピンの合同演習。東アジア地域で小さな衝突が起こるリスクが高まっている(写真:AP/アフロ)

安倍晋三首相の率いる連立政権が、日本国憲法の「解釈変更」を閣議決定した。日本の安全保障が危険にさらされた場合には、日本は武力を行使して同盟国を支援できるようになる。

憲法解釈を変更すれば、日本軍国主義の復活を警戒する中国と韓国が抗議の声を上げる。ナショナリストの安倍首相は、戦犯として拘留されたこともある岸信介・元首相を祖父に持つ。また、第2次世界大戦で天皇に命を捧げた兵士を祭る靖国神社に公式参拝している。中韓の抗議も無理のないことかもしれない。

憲法の平和主義とは?

安倍首相は平和主義の民意を覆そうとしている。しかし新たな解釈によっても、日本が武力行使できる状況は極めて限定的なので、軍国主義の復活は程遠い。逆に気掛かりなのは、日本の民主主義への影響だ。選挙で選ばれた民主的な政府なら、議会の支持を得ることなしに簡単に憲法解釈を変更したりはしない。

憲法の平和主義は、占領下で米国から押し付けられた戦後秩序の一環だ。戦争に疲れきっていた日本国民は、ほとんどが受け入れた。日本には、ドイツの場合とは異なり、戦時中の残虐行為の責任を押し付けるヒトラーやナチスのような存在はなかった。追放すべきは、天皇崇拝、武士の伝統、権威主義的な「封建主義」などに由来する独特な日本軍国主義だと、戦後の改革者たちは考えた。

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