アナフィラキシーが怖い人に知ってほしい真実 コロナワクチン打った後にもしも起こったら?

✎ 1〜 ✎ 92 ✎ 93 ✎ 94 ✎ 最新
拡大
縮小
正しく理解していれば過度に怖がる必要はない(写真:Kiyoshi Ota/Bloomberg)

先の見えない状況が続く新型コロナウイルス感染。切り札として期待されているワクチンに関する報道で、見聞きする機会が増えたのが「アナフィラキシー」という言葉だ。ワクチンの副反応の一つだが、どんなメカニズムで症状が起こるのか。専門家に話を聞いた。

アナフィラキシーの症状とは?

「アナフィラキシーとは、アレルギー物質(アレルゲン)が体内に入った後、数分後から十数分以内に起こる過敏反応のことで、皮膚や粘膜、呼吸器や循環器など、複数の場所に同時に症状が表れるのが特徴です。このうち、急な血圧低下や意識障害が起こるものを、アナフィラキシー・ショックと呼びます」

こう話すのは、日本アレルギー学会「アナフィラキシー ガイドライン」を作成したAnaphylaxis対策特別委員会委員長(当時)で、国立病院機構相模原病院臨床研究センター・センター長の海老澤元宏さん。

ガイドラインによると、具体的な症状は発疹(じんましん)や赤み、かゆみ、唇やまぶたの浮腫、腹痛、嘔吐、喘鳴(ぜんめい・呼吸がゼーゼーする)、呼吸困難、血圧低下、意識障害など、実にさまざまだ。

また、さまざまなものが要因となる。

食品では、子どもに多いのが卵や牛乳で、年齢が上がると増えるのが小麦や甲殻類(カニなど)、ソバ、ピーナッツ、ナッツ類など。ハチに刺された後に起こる例もあり、抗菌薬や痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬)、抗がん剤などの医薬品も要因となる。

「医薬品に関しては、主体となる成分でアナフィラキシーが起こる場合もあれば、添加物で起こる場合もある。実際、新型コロナのワクチンのアレルギーでは、添加物で起こっている可能性が高いとされています」(海老澤さん)

ファイザー社のワクチン「コミナティ」やモデルナ社のワクチンが用いているm(メッセンジャー)RNAは、脂質で包まれた形で製品化されているが、この脂質であるポリエチレングリコール(PEG)がアナフィラキシーの要因といわれている。アストラゼネカ社のワクチンにはポリエチレングリコールは使われていないが、類似物質のポリソルベート80が添加物として入っている。

次ページポリエチレングリコールの安全性は?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT