「ポリエチレングリコールは、私たちが身の回りで使っている化粧品やハンドクリームなどに用いられている成分で、安全性は高いです。便秘の治療薬や大腸内視鏡検査の前処置でも利用されています」(海老澤さん)
ファイザー社のワクチン接種における国内での副反応をみると、男性より女性のほうが圧倒的にアナフィラキシーを起こしている。海外の報告でも同じような傾向だ。
「これはあくまでも可能性ですが、男性より女性のほうが化粧品やハンドクリームを使う機会が多い。ポリエチレングリコールの一部は皮膚から吸収されるので、気がつかないうちにこの物質に対する反応性が獲得されていて、そこに高い濃度のポリエチレングリコールがワクチン接種によって入ったため、過敏反応が起こったのではないでしょうか」(海老澤さん)
では、今回のワクチン接種では、どれくらいの頻度でアナフィラキシーが起こっているのだろう。
100万回接種あたり37件は相対的に多い
厚生労働省の資料によると、2月17日から4月22日までにワクチンを接種した回数は推定で251万7045回。このうちアナフィラキシーとして報告された事例は580件。最終的には違ったケースや不明なケースを除くと、全部で94件だった。100万回接種にならすと37件。インフルエンザワクチンなど一般的なワクチン接種によるアナフィラキシーの発生率は、100万接種あたり1.3件なので、相対的に見てコロナワクチンのアナフィラキシーはかなり多い。
だがその一方で、94件の経過を見ると、回復(有害事象が消失、またはもとの状態まで戻っている)が47例、軽快(有害事象は完全に回復していないが、ほぼ消失、またはほぼもとの状態に戻っている)が43例、未回復が3例(有害事象は継続中である)、不明が1例だった。
「これを見ると、ほとんどの方が改善されています。アナフィラキシーにはアドレナリンの筋肉注射がたいへん有効です。起こった段階ですぐに注射すれば重症化せずにすみます。ですから、むやみに怖がらないでほしいですね」(海老澤さん)
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