JリートでTOB勃発、波乱含み「買収劇」の内幕 インベスコにスターウッドが1700億円買収提案

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スターウッド・キャピタル・グループが、上場REITのインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人にTOBを仕掛けた(記者撮影)

J-REIT(不動産投資信託)史上初となる、TOB(株式公開買い付け)による上場廃止が現実味を帯びている。

アメリカの資産運用会社スターウッド・キャピタル・グループは4月2日、東京証券取引所に上場するインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人の全投資口(株式)を取得すると発表した。

既保有分を含めて発行済投資口総数の3分の2以上の取得が成立条件で、買い付け価格は1口当たり2万円。TOBを公表した4月2日の終値に対して約13%、過去1カ月の終値の平均値に対して約14%のプレミアムが加算されている。買収額は約1670億円。公開買い付け期間は5月24日までで、TOBが成立すれば、インベスコは上場廃止となる。

敵対的TOBの可能性も

インベスコは、スターウッドが事前協議なくTOBを発表したことに困惑しており、23日にはスターウッドの買い付け手法に問題があるとして、TOBの差し止めを裁判所に申し立てるよう金融庁などに求めている。インベスコの動き次第では敵対的TOBにつながりかねない。

スターウッドは世界7カ国で不動産やインフラ施設などを投資対象とし、2020年にアジア・太平洋地域の統括拠点を香港から東京へ移転した。1月には日本における第1号案件となるオフィスポートフォリオの取得契約を締結している(ポートフォリオの内訳や金額は非公表)。

「日本市場は重要だ。多くの投資をしたい」。2月末、スターウッドのアジア不動産部門の責任者を務めるケビン・リー氏は、東洋経済の取材に対してこう答えた。この時点でTOBに着手していることはおくびにも出さなかったものの、日本の不動産への関心をにじませた。

リー氏はさらに、「日本のオフィスは興味深い投資対象だ。(テレワークが普及しても)生産性を上げるうえでオフィスの役割は重要で、不要になるとは思わない。個別物件を取得するだけでなく、企業を買収することも選択肢になる」と語った。

スターウッドが日本の不動産市場の調査を開始したのは2019年12月上旬。オフィスビルを軸に検討を進め、上場REITも研究対象とした。重点投資対象は延べ床面積7000平方メートル以上かつ1フロアの専有面積が400平方メートル以上のオフィスビルだ。

研究の結果、保有物件が大都市圏に集中し、稼働率が安定していて、賃料の増額余地もあるインベスコが投資対象として浮上した。

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