エアドロップで卑猥画像「痴漢」の驚くべき実態 「実は喜んでいる」加害者側の最悪に歪んだ認知
「非接触型」の痴漢も増えている。京都府に住む会社員の家入サクラさん(仮名・20代)は語る。
「会社帰りに電車で座っていたら隣の中年男性がスマホで、ひわいな画像をずっと見ているんです。スルーしましたが、時折私のほうに画面を傾けて様子をうかがってくる。気持ち悪いし、腹が立ってきましたね」
後藤美姫さん(仮名・20代)は、3年前にエアドロップ痴漢の被害に遭った。
「エアドロップとはiPhoneの画像共有機能のこと。画像が送られてくると、その内容がプレビューとして表示されます。それを悪用した痴漢がいるんです。電車内で3回ほど、男性の局部アップの写真が送りつけられました」
このエアドロップ痴漢、2019年8月には福岡県警によって当時37歳の男性が書類送検されている。同年、iOSの仕様変更によりサムネイル画像は表示されなくなったが、それでも、うっかり『受け入れる』をタップするとカメラロールに保存されてしまう。
「見たくもない画像を見せつけられたイヤな思いは、今も消えません」と美姫さんは顔をしかめる。
痴漢に加え、盗撮被害も深刻だ。スマホのシャッター音が出ないカメラのアプリやペン型の超小型カメラなど手口も巧妙化。新たな性犯罪も後を絶たない……。
PTSDを発症するなど深刻な後遺症も
被害者には、深刻な後遺症に悩むケースも珍しくない。前出の米倉さんによれば、
「痴漢行為は、被害者に精神的・肉体的苦痛や人生への打撃を与えています。『男性と2人きりになるのが耐えられなくなった』『後ろに男性が立っているだけで不安になる』など男性への嫌悪や不信感、さらに『1人で外出できなくなった』『公共交通機関を使えなくなった』『うつになった』などPTSDに苦しみ、自傷行為や自殺を考えるほど追い込まれる人もいます」
痴漢対策として、防犯グッズを活用する、電車内では混雑する出入り口付近には立たないなど、女性に自衛を促すポスターや動画も見かけるが、「そうした情報は有効ではありますが、そればかりだと“被害者に隙があるのでは”という風潮が生まれる危険性も否めません」と米倉さんは指摘する。
女性がどんなに自衛をしても、加害者がいなくならなければ問題は解決しない。