エアドロップで卑猥画像「痴漢」の驚くべき実態 「実は喜んでいる」加害者側の最悪に歪んだ認知
「ライブ中に痴漢に遭うなんて思ってもいませんでした」
都内在住の会社員、原和美さん(仮名・37歳)は、打ち明ける。それは2年前の夏、大好きなロックバンドのライブ会場で起きた。
「私は最前列にいたのですが、身動きはほとんど取れず、フロアはラッシュ時の山手線のような状態でした」
会場では、激しい音楽に合わせて観客同士が体をぶつけ合う「モッシュ」が起きていた。
「ライブが中盤に差しかかったころ、1人の男性が背後から密着してきたんです。最初は気にしていなかったのですが、何度もお尻に手の甲が当たってきて……」
偶然かもしれない。気にしすぎだ──。幾度も自分に言い聞かせたが、なおも男性は離れる気配を見せなかった。
「怖いし、気持ち悪いし……。でも、もしも私がそこで騒いだらライブが中断して、メンバーやファンに迷惑をかけてしまう……。そう思うと声を上げられませんでした」
しばらくして男はいなくなったが、和美さんは「ライブに集中できなくなってしまった」と無念の表情を浮かべる。
「後日、同じファンの友人たちに相談したら、似たような被害に遭っている子がいました。今でも、あの日、会場で流れていた曲を聴くとイヤな思い出がよみがえってきます……」
偶然をよそおい加害! ぶつかり男の正体
すれ違いざまの一瞬を狙う卑劣な手口も多い。
「とっさのことで、何が起こったかわかりませんでした」
大手食品メーカーで営業職として勤務する桃内綾子さん(仮名・40代)は語る。
「昨年夏、駅構内を歩いていたときに向かいから来たサラリーマン風の男性がいきなりぶつかってきたんです」
衝撃もさることながら、男性の腕が綾子さんの胸に強く当たったのだという。
「あまりに突然で声も出ませんでした。男性の顔を確認しようとしたのですが、すぐに人混みに紛れてしまいました」
やがて行き場のない憤りが綾子さんに湧き上がってきた。
「これまでもバスや電車ですれ違いざまに腕を胸元に当ててくる男性がいました。母親に相談したら『そんな薄着をしているから』と逆に説教をされてしまいました。……私が悪いのでしょうか。今は、人混みを歩く際には、両手でカバンを抱きかかえるようにして歩いています」