エアドロップで卑猥画像「痴漢」の驚くべき実態 「実は喜んでいる」加害者側の最悪に歪んだ認知
そもそも加害者たちは一体何を考えているのか。
「世間では、“男性が露出の多い女性の姿を目にして、つい性欲を抑えきれずに痴漢をした”と思われがちですが実は、違います」
そう加害者の心理を明かすのはこの問題に詳しい精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さんだ。
「痴漢加害者にとっては、逮捕されないことが最も重要です。そのためには、被害に遭っても訴え出なさそうなターゲットを虎視眈々と狙い、計画的に犯行に及びます」(斉藤さん、以下同)
いわゆる「変態」が突発的にムラムラして、痴漢行為に及ぶわけではないのだ。
「その動機は、ひとことで言えば、“弱い者イジメ”です。日常で抱えている過度なストレスを痴漢という不適切な手段で発散し、そこで達成感や優越感を味わっています。そこには支配欲、ゲーム感覚やレジャー感覚、男性性の確認など、さまざまな快楽が複雑に絡み合い、より強い刺激を求めて“あと1回だけ”“もう少しだけ”と繰り返し、痴漢行為にハマっていくのです」
さらに加害者には「女性側も痴漢をされたがっている」「声を上げないのは、実は喜んでいる証」など恐るべき認知の歪みが内在している。
「この背景には、歪んだ承認欲求や男尊女卑の価値観が横たわっています。古くから脈々と受け継がれてきた“男性は女性を下に見ていて、何をしても多少なりとも許される”という考えの影響が加害者には、色濃く見られます。つまり痴漢は、男性側が真剣に考えなくてはならない性の問題なのです」
見て見ぬふりも加害行為と同じ
加害者の更生には、認知の歪みを修正する方法を学習し、適切なストレス対処行動を身につけさせる以外にないため、専門家による『性犯罪再発防止プログラム』が欠かせない。同時に痴漢撲滅には、加害者治療や当事者に声を上げる勇気や自衛を求めるばかりでなく、「第三者へのアプローチも重要」と訴える。
「痴漢をはじめとする性暴力を周囲の人が、見て見ぬふりをするのは、加害行為に加担するのと同じ。巻き込まれたくない、急いでいる、などためらう気持ちもわかりますが、第三者が被害者に声をかけたり、通報に協力するなど、社会全体で加害行為を見過ごさない、そんな意識を私たちが持つことが大切です」
もし被害に遭った際、勇気を出して「やめてください」と言っても周囲の乗客に無視されたら、絶望してしまう。そしてそんな空気が加害をしやすい社会をつくってしまう。第三者の「見過ごさない」という意識の積み重なりが、痴漢撲滅には必要なのだ。