携帯ショップで「スマホ販売拒否」多発のなぜ 通信契約の有無で客を差別、揺らぐ「完全分離」

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もう一つ、ショップのスマホ販売拒否の原因といえる問題がある。大手3社が代理店へ支払うインセンティブの評価体系と、スマホの在庫事情だ。

携帯販売代理店にとって、スマホなどの販売自体で実利がないのは上述のとおりだ。代理店の利益は、通信契約の獲得数などに基づく評価で携帯大手各社から得られるインセンティブに依存している。

携帯ショップではスマホの購入と通信契約を同時に行う客が多いため、スマホの在庫は通信契約を取るために欠かせない「弾(たま)」でもある。発売から間もない人気機種の場合はなおさらだ。

「在庫がない」とウソをついてでも

代表的な人気スマホはiPhoneだが、昨年10月23日に発売された最新型のiPhone12は新型コロナウイルスによる生産の遅れが響き、直近まで十分な在庫を確保できない状態が続いているという。

ドコモの代理店関係者は「もし通信契約なしの人に端末を販売して在庫が減れば、通信契約ありで購入したい人向けに売れる台数が減ってしまう。売っても赤字のうえ、評価面でも足かせになる。通信契約なしでスマホを売りたいわけがない」と明かす。

なお、大手3社ともインセンティブ評価項目の一つとして、スマホなどの端末をどれだけ売ったかという総販売台数を用いてはいる。が、代理店関係者らによれば、通信契約なしで販売した場合には総販売台数に一切カウントされないという。

KDDIの代理店関係者は「とくに評価項目の各数字が厳しい月末はきつい。追い込みで契約を積み上げたい中で、人気機種の在庫は切らせない。通信契約なしの人に対して『在庫がない』とウソをついてでも販売拒否したくなる気持ちはわかる」と話す。

大手3社は総務省のヒアリングに対し「代理店への教育や指導、ルール周知を徹底して再発防止に努める」と異口同音に答え、根本原因となっている販売・評価の仕組みを顧みることはしていないように見受けられる。こうした状況を放置してきた総務省にも、責任の一端があるだろう。

東洋経済プラスの連載「携帯販売の大問題」では、以下の記事を無料でお読みいただけます。

au、表向き値下げでも「面従腹背」の衝撃実態 

「わざとスマホ壊して!」ドコモ代理店、驚愕営業の実態 

奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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